萩原恭次郎

萩原恭次郎は、1899年に群馬県で生まれ、大正から昭和にかけて詩人として活躍しました。初期はダダイストとして、その後はアナーキストとして、時代の先端を走り続けました。

生涯

1899年、萩原恭次郎は群馬県勢多郡南橘村（現在の前橋市）に生を受けました。1916年には、同じく詩人である萩原朔太郎と出会い、交流を深めます。1918年に前橋中学校を卒業後、川路柳虹が主宰する詩誌『現代詩歌』に参加し、詩作活動を本格化させました。

1920年には群馬銀行に入行しますが、1922年に退行し上京。正光社に入社し、編集者として新たな道を歩み始めます。1923年には、同人誌『赤と黒』を創刊し、壺井繁治、岡本潤、川崎長太郎といった作家たちと活動を共にしました。その後、林政雄や小野十三郎も同人に加わっています。

1925年、前衛芸術運動『マヴォ』に編集者として参加し、同年、第一詩集『死刑宣告』を刊行。これにより、萩原恭次郎は詩人としての地位を確立しました。1932年には、『クロポトキンを中心とした芸術の研究』を創刊し、アナーキズム思想への傾倒を深めていきます。

しかし、1938年、萩原恭次郎は溶血性貧血により40歳という若さでこの世を去りました。墓所は前橋市林倉寺にあり、戒名は宝積院哲茂恭謳居士です。

作品の特徴と影響

萩原恭次郎の詩は、初期のダダイズムの影響を受けた実験的な作風から、社会批判や抵抗精神を色濃く反映したアナーキズムの思想へと変化していきました。代表作である『死刑宣告』は、社会の矛盾や抑圧に対する怒り、そして人間の内面に潜む孤独や不安を表現した作品として知られています。

萩原恭次郎の詩は、同時代の詩人や芸術家たちに大きな影響を与えました。彼の作品は、社会に対する批判精神や、既成概念にとらわれない自由な表現を追求する姿勢を示し、後世の詩人たちに受け継がれています。

主な詩集

第一詩集『死刑宣告』（1925年）
第二詩集『断片』（1931年）

没後には、以下の全集・詩集が刊行されています。

『萩原恭次郎全詩集』（1968年）
『萩原恭次郎全集』（1980年）

萩原恭次郎の作品は、今なお多くの読者に愛され続けています。彼の詩は、社会に対する鋭い視点と、人間の内面を深く掘り下げる洞察力によって、現代社会においても色褪せることなく、私たちに問いかけ続けているでしょう。

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