落選運動

落選運動：候補者の落選を目指す政治活動

落選運動とは、選挙において特定の候補者の落選を目的とした政治活動です。選挙運動とは異なり、公職選挙法の規制対象外ですが、インターネットを使った活動には法的な制約が及ぶ可能性があります。

落選運動の仕組みと種類

落選運動の方法は、選挙制度によって異なります。小選挙区制や大選挙区制では、他の候補への投票が対象候補の落選に繋がる一方、比例代表制では、対象候補が属する政党の得票率を下げることで、間接的に落選に導く効果が期待できます。重複立候補者の場合、選挙区での落選後も比例代表で復活当選する可能性があり、落選運動の難易度が上がります。

日本の衆議院議員総選挙では、2000年以降、小選挙区で供託金没収となった候補者は復活当選できません。そのため、対象候補の得票数を供託金没収点（有効投票数の10分の1）未満にすることが、落選運動の目標となります。

地方首長や地方議員選挙では、住民による解職請求という制度もあります。これは、一定の条件を満たせば、住民が首長や議員を解職できる制度です。

各国の落選運動の事例

韓国の落選運動

韓国では、2000年の総選挙で「落薦・落選運動」が行われました。これは、2段階の手法で実施されました。まず、市民団体が不適格な候補者リストを発表し、政党に公認しないよう働きかけました（イエローカードキャンペーン）。次に、選挙で投票しないよう呼びかけました（レッドカードキャンペーン）。

この運動では、不正や腐敗に関与した候補者、選挙法違反者などがリストに掲載されました。結果、リストに載った候補者の約半数が公認を取り消され、選挙でも多くの候補者が落選しました。

この運動は、韓国の選挙法に抵触するとの議論もありましたが、世論の支持を受けて、金大中大統領は関連法の廃止を指示しました。運動の対象となった候補者には、保守系、特に軍出身者が多く含まれており、その背景には北朝鮮の関与を示唆する見解もあります。

日本の落選運動

日本では、韓国の運動の影響を受けて、2000年に「市民連帯・波21」が結成され、落選候補リストを発表しました。しかし、リストに載った候補者の多くが与党所属だったため、「公平性に欠ける」との批判も受けました。

近年では、サイボウズ社長の青野慶久氏などが、選択的夫婦別姓や同性婚に反対する候補者の落選運動を展開しています。また、いじめ問題への対応を理由に、教職員組合が支持する候補者が落選した事例もあります。

落選運動を取り巻く課題

落選運動は、民主主義社会において重要な役割を果たす一方で、いくつかの課題も抱えています。

公平性： 落選運動が特定のイデオロギーや勢力に偏ると、公平性に欠けると批判される可能性があります。
法規制： インターネットの普及により、落選運動の情報発信が容易になった一方、虚偽情報の拡散や名誉毀損などのリスクも高まっています。
* 民主主義への影響： 過激な落選運動は、民主主義プロセスを阻害する可能性があります。

落選運動は、市民の政治参加の一形態として捉えることができますが、その透明性や倫理性を確保することが重要です。健全な民主主義社会の発展のためには、落選運動のあり方について、継続的な議論と検討が必要となります。

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