葉禎

葉禎（よう てい）は、生年不詳ながら明代に活躍した官僚であり軍人です。字を夢吉と称し、本貫は肇慶府高要県にありました。

宣徳年間に郷試に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせました。最初に任じられたのは潯州府同知という役職で、その後、鳳翔府同知、さらに慶遠府同知へと異動しました。これらの役職を通じて、地方行政に携わったことが伺えます。

葉禎の特筆すべき功績は、両広地方における瑶族の反乱鎮圧です。当時、瑶族は各地で反乱を起こし、州県に大きな被害をもたらしていました。多くの将士や官吏が事態を傍観する中で、葉禎は反乱軍との徹底抗戦を誓い、自ら兵を率いて鎮圧に乗り出しました。

彼はまず、強健な若者たちを徴募し、厳しい訓練を施しました。この精鋭部隊を率いて、反乱軍の首魁である韋父強との戦いに挑みます。韋父強は幾度も官軍を撃破していましたが、葉禎はこれを生け捕りにすることに成功しました。しかし、韋父強の仲間たちは城に攻め寄せ、葉禎は自ら先頭に立ってこれを撃退しました。この活躍によって、葉禎の名は知れ渡ることとなりました。

1459年（天順3年）1月、反乱軍は鶏刺の諸村を包囲しました。葉禎はわずか300人の兵を率いて救援に向かいます。1月30日、頭山の麓で反乱軍と遭遇し、激しい戦闘が繰り広げられました。葉禎は奮戦しましたが、衆寡敵せず、甥の葉官慶と麾下の300人全員と共に壮絶な戦死を遂げました。

葉禎の死は朝廷に上奏され、その忠義と勇猛さが認められました。彼は死後、朝列大夫・広西参議の位を追贈され、その功績が称えられました。葉禎の生涯は、地方官として、また軍人として、困難な状況下でも勇猛果敢に任務を遂行した姿を示しており、後世に語り継がれるべき人物と言えるでしょう。

参考文献
* 『明史』巻165 列伝第53

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