葛城 (スループ)

葛城（かつらぎ）

葛城は、大日本帝国海軍が保有したスループ艦です。艦名は、大阪府と奈良県の境に位置する金剛山地の葛城山に由来します。

艦型

葛城は、3本マストを備えた汽帆兼用の鉄骨木皮構造のスループとして建造されました。同型艦には「大和」「武蔵」が存在します。

機関

「葛城」「大和」「武蔵」は姉妹艦でありながら、それぞれスクリューの翼形状が異なっていました。これは試運転を行い、最適な形状を決定するためです。試運転の結果、「武蔵」のスクリュー形状が最も優れていることが判明しました。

また、当時の艦艇では、停泊中に使用しない蒸気を活用した蒸留器が設置されていましたが、この3隻には蒸化器と蒸留器が搭載され、常に真水を製造することが可能となりました。しかし、その能力は1日にわずか3.5トンでした。竣工時の煙突は昇降式でした。

兵装

葛城は、艦首に17cm克砲1門、両舷に12cm克砲各1門、後部に17cm克砲1門、さらに両舷に12cm克砲各1門、艦尾に12cm克砲1門を装備していました。合計で17cm砲2門、12cm砲5門を搭載していたことになります。加えて、機関砲4基がシェルター甲板上に装備されました。竣工時には魚雷発射管は装備されておらず、発射管口は閉鎖されていましたが、後に装備されました。

変遷

運用期間中には、帆装の簡素化や、昇降式煙突から大型の固定式煙突への換装などが行われました。

艦歴

建造

1882年10月21日、横須賀造船所での建造が決定し、「葛城」と命名されました。1883年12月25日に起工、1885年3月31日に進水しました。進水式には皇族や太政大臣夫妻らが参列しました。1887年11月4日に竣工し、三等艦に定められました。

葛城の進水に際しては、従来のフランス式とは異なり、滑台が2本の進水台が採用されました。

巡洋艦

竣工当初は巡洋艦として扱われ、1886年12月28日には横須賀鎮守府所轄水雷術練習艦の附属艦として常備小艦隊に編入されました。1890年8月23日には第一種に定められました。日清戦争では、僚艦と共に大連・旅順・威海衛攻略作戦などに参加。1897年12月21日からは測量任務に従事し、1912年まで日本近海の水路測量を行いました。

海防艦

1898年3月21日、艦艇類別等級標準の制定により、三等海防艦に類別されました。1900年10月6日には伊豆大島乳ヶ島で座礁し、横須賀造船廠で修理を受けました。日露戦争では、長崎港の警備を担当しました。1911年11月7日に佐世保を出港し、太平洋沿岸の海流測定を行い、同年12月26日に佐世保に帰港しました。1912年4月2日には佐世保を出港し、三島付近の錘測などを行いました。1912年8月28日の等級改定で二等海防艦となりましたが、翌1913年4月1日に除籍され、艦艇類別等級表からも削除されました。同年6月12日に売却訓令が出され、11月1日に佐世保市の橋本政吉に売却され、その後長崎で解体されました。

歴代艦長

歴代の艦長は以下の通りです。

松岡方祇
平山藤次郎
窪田祐章
有栖川宮威仁親王
町田実隆
佐藤鎮雄
島崎好忠
小田亨
高木英次郎
迎敦忠
梨羽時起
徳久武宣
友野雄介
武井久成
加藤重成
大井上久麿
有川貞白
伊東吉五郎
和田賢助
池中小次郎
宇敷甲子郎
坂元宗七
橋本又吉郎
山口九十郎
西垣富太
志摩猛
土田粂太郎
九津見雅雄

姉妹艦

大和
武蔵

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