葛尾城

葛尾城の歴史と特徴

概要

葛尾城（かつらおじょう）は、長野県埴科郡坂城町に位置する山城で、戦国時代には北信地域で最も勢力を誇った村上氏の居城として知られています。この城は、周囲に村上氏の支城や砦の跡が点在し、その歴史の深さを物語っています。

戦国時代の葛尾城

この城は、特に天文年間に注目されました。村上義清は、甲斐国の武田晴信（信玄）の信濃侵攻に対抗しており、上田原の戦いや砥石崩れといった戦いでは武田軍を退けることに成功しました。しかし、天文22年（1553年）には葛尾城が敵対勢力の策略により陥落することとなります。 当時、村上氏を支える北に位置する屋代氏や雨宮氏、塩崎氏が武田方に変わり、背後を突かれる形で城は落ちました。この戦いは「葛尾城の戦い」と呼ばれています。義清は長尾景虎（上杉謙信）に助けを求め、逃げ延びることになるのですが、これが後の川中島の戦いの発端ともなったのです。

戦闘とその影響

当時、葛尾城のある千曲川は大洪水に見舞われ、城の戦況にどのように影響したのかは正確には分かっていません。半月後、義清は援軍を得て城を奪還しましたが、再度城の主となることはできませんでした。村上氏に従っていた武士たちは、主を変えながら武田や上杉と戦ったとされています。村上義清は、上杉氏の支配下にあたる根知城で警備を行い、最終的には元亀3年（1572年）に命を落とすこととなります。

葛尾城の最後の戦闘

慶長5年（1600年）には、関ヶ原の戦いに向かう徳川秀忠が小諸城を拠点に上田城を攻撃しましたが、その後撤退。徳川方の海津城が設置した監視の兵士たちが葛尾城や地蔵峠に配置されていました。この頃、真田信繁（幸村）が2度にわたり上田城から攻撃を仕掛けたとされ、これが葛尾城の最後の戦闘と言われています。忠政と対立していた城代の宇右衛門は、真田軍を城内に入れさせてしまい、最終的には二の丸まで迫られる事態となりました。

居館跡や伝説の地

平時の居館跡には現在、満泉寺が建立されています。これは村上義清の子、村上国清によって1582年に建てられたもので、この時代の歴史を今に伝えています。また、伝説において葛尾城の落城の際、義清の奥方が渡し場で船頭に感謝の意を示し、笄を渡したことから「笄の渡し」という名が付けられました。この伝説は、時代や地域によって異なるバリエーションが存在し、多くの人々に語り継がれてきています。

結論

葛尾城は、その戦国時代の激動の歴史を体現しているだけでなく、地域の文化や伝説にも深く根ざしています。今なおその城の跡は、訪れる人々に歴史の息吹を伝えており、一度訪れてみる価値があるでしょう。また、村上氏の物語が現在まで続くことに感謝しつつ、この城の存在の重要性を再認識することができます。

もう一度検索