村上義清

村上義清とは

村上義清（むらかみ よしきよ）は、戦国時代の武将で、北信濃を拠点とした戦国大名です。1501年に葛尾城で生まれ、幼少期から武将としての才能を発揮しました。父は村上顕国、母は室町幕府の有力者である斯波義寛の娘という、名門の血筋を受け継いでいます。

家督相続と勢力拡大

1520年に父の死後、村上氏の家督を継承。佐久郡、埴科郡、小県郡など信濃東部から北部を支配下に置き、村上氏の勢力を最大に拡大しました。当時の村上氏は、守護の小笠原氏と婚姻同盟を結びながらも、北信濃では越後長尾氏と関係の深い井上氏や高梨氏と争い、東信濃では関東管領上杉氏を後ろ盾とする海野氏を抑え込むなど、周辺勢力との複雑な関係の中で、独自の地位を築いていました。

武田信玄との激戦

村上義清の生涯で特筆すべきは、武田信玄との激しい戦いです。1548年の上田原の戦いでは、武田勢を打ち破り、その名を轟かせました。しかし、1550年には砥石城の戦いで武田氏に敗北。その後、家臣の離反が相次ぎ、1553年には葛尾城を捨て、越後へ逃れることとなります。

上田原の戦い

1548年、武田信玄は村上氏の領土である小県南部への侵攻を開始。これに対し、村上義清は上田原で武田勢を迎え撃ち、見事撃退に成功しました。この戦いでは、武田方の有力武将である板垣信方や甘利虎泰などを討ち取るなど、武田軍に大きな損害を与えました。村上軍は、この勝利で武田氏の勢いを一時的に食い止めました。

砥石崩れ

1550年、村上義清が高梨政頼と戦っている隙を突き、武田信玄は小県の要衝である砥石城に侵攻しました。村上義清は高梨氏と和睦を結び、急遽反転して武田勢と戦いました。この戦いで、武田軍は横田高松などの多くの将兵を失い大敗を喫しました。この勝利で村上氏は武田氏との戦いを有利に進めるかに見えました。

上杉家への臣従

1553年、村上義清は武田氏の勢力拡大により、越後国の長尾景虎（後の上杉謙信）を頼り、その家臣となりました。これにより、村上氏は独立勢力としての歴史に幕を下ろしますが、義清は上杉家臣として、再び戦場で活躍することになります。長尾景虎は、義清の嫡男である国清を養子とし、山浦姓を与え、上杉家での地位を確固たるものとしました。

川中島の戦い

第四次川中島の戦いでは、村上義清は高梨政頼、須田満親と共に、雨宮の渡しの守備を担当。上杉軍の一翼を担い、武田軍と激戦を繰り広げました。この戦いは、村上義清にとって、かつての宿敵武田氏と再び相まみえる戦いとなりました。

晩年と村上氏の旧領復帰

1573年、村上義清は越後の根知城で病死しました。享年73歳。しかし、その死後、1582年に武田氏が滅亡すると、義清の嫡男である山浦国清は海津城代に任命され、村上氏は旧領の一部を回復しました。村上義清の生涯は、戦国の激動期を生き抜いた武将の典型であり、その武勇と戦略は、後世に語り継がれています。

村上氏の系譜

村上氏は、清和源氏の河内源氏を祖とし、源頼信の次男、源頼清を始祖とします。家紋は「丸に上文字」で、真言宗を信仰していました。村上義清は、この名門の家系の当主として、その名を歴史に刻みました。

関連作品

村上義清を題材にした作品は、テレビドラマや小説など多岐にわたります。NHK大河ドラマ『武田信玄』や『風林火山』では、その勇ましい姿が描かれ、多くの人々に知られるようになりました。

参考文献

志村平治『村上義清伝 北信濃の武将』（新人物往来社、1991年）
笹本正治 監修・坂城町 編集『村上義清と信濃村上氏 坂城町信濃村上氏フォーラム記念誌』（信毎書籍出版センター、2006年）
* 高坂弾正『甲陽軍鑑』温故堂、1892年

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