葛野川ダム

葛野川ダムについて

葛野川ダム（かずのがわダム）は、山梨県大月市に構築された重力式コンクリートダムであり、相模川水系に位置します。このダムは、高さ105.2メートルで、東京電力リニューアブルパワーが運営する葛野川発電所における下池として機能しています。ダム湖の名称は松姫湖（まつひめこ）で、周囲の豊かな自然環境は訪れる人々に癒しを与えています。

ダムと発電所の仕組み

このダムの上流には、別の水系として知られる日川に位置する上日川ダム（大菩薩湖）があります。葛野川ダムと上日川ダムを結ぶことで、揚水発電所としては世界的に見ても非常に大きな落差714メートルを有しています。この落差により、発電所は3基の水車発電機を設置して最大120万キロワットの電力を生成できる能力を持ちます。

さらに、葛野川ダムの直下には、土室川発電所が存在し、これは河川環境を保全するために設計されています。具体的には、選択取水設備を使用し、湖水の温度が高く、濁りの少ない表層部分を選んで放流することで、下流域の水質を保護しつつ発電を行っています。

構築の歴史

葛野川ダムの建設はこれまでの歴史的背景を持っています。相模川水系は1907年から電力開発が進められており、東京電力の前身である旧東京電燈が駒橋発電所を設置したのが始まりです。東京電力は1989年、高度な電源開発を行うために葛野川水力調査所を設置し、1993年には葛野川発電所の建設工事に着手しました。
1998年に湛水を開始し、1999年には発電所1号機が営業運転を始め、以降順次運転を開始しています。2014年には可変速揚水発電システムを持つ4号機が稼働を始め、現在も新たな発電機の運転準備が進められています。

発電所の技術的特長

葛野川発電所は、出力を拡大するために714メートルという高い水面標高差を有しています。これは通常、300から500メートルほどの設計が多い中で、異例の高さです。そのため、新高瀬川発電所よりも高い出力を実現しています。
さらに、建設過程では効率を追求した多くの新技術が導入され、コスト削減や建設期間の短縮が図られました。たとえば、急こう配の水路をトンネルボーリングマシンで掘削し、人工地下空間を整備するなどの手法により、900億円も建設コストが削減された報告もあります。

周辺環境とアクセス

葛野川ダムへのアクセスは非常に良好で、中央自動車道の大月インターチェンジから国道139号を北上することができます。途中には深城ダムがあり、松姫峠を越えると奥多摩湖が現れます。上日川ダムへのアクセスはやや山を下らなければならず、県道218号を利用することが推奨されています。

ダムは自然と調和した美しい景色に囲まれ、観光や訪問に最適な場所でもあります。自然の豊かさを体感しながら、機械技術の進展を感じることのできる魅力あふれるスポットです。

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