董厥

董厥（とう けつ）

董厥（生没年不詳）は、三国時代の蜀漢に仕えた政治家。字は龔襲（きょうしゅう）、荊州義陽郡の出身。

生涯

諸葛亮が丞相となると、董厥は丞相府の令史に任じられ、その思慮深さを高く評価された。後に主簿に昇進し、諸葛亮の死後も順調に昇進を重ね、尚書僕射、尚書令と要職を歴任した。樊建に尚書令を譲った後は、輔国大将軍・大将軍平台事となった。

陳祗の死後、景耀元年（258年）に平尚書事となると、諸葛瞻、樊建と共に政治を主導したが、姜維が外征で不在がちであったため、宦官の黄皓が権力を掌握するようになった。董厥らは互いを庇い合い、政治の歪みを正すことができなかった。特に董厥は、樊建とは異なり、諸葛瞻とともに黄皓と親密な関係を築いていたとされる。

董厥と諸葛瞻は、姜維の度重なる外征が国力を疲弊させていると考え、姜維の軍権を剥奪し、益州刺史に転任させるよう劉禅に進言しようとした。

景耀6年（263年）、魏が侵攻を開始すると、董厥は張翼、廖化と共に迎撃に向かった。陽安関の入り口で、陰平から敗走してきた姜維、廖化と合流し、剣閣に立て籠もって魏軍を防ぐこととした。しかし、魏軍は別働隊を江油と綿竹へ差し向け、諸葛瞻を討ち取ったため、劉禅は譙周の進言を受け入れ降伏を決意、蜀漢は滅亡した。董厥は姜維らと共に鍾会軍に降伏し、成都へ戻った。

咸熙元年（264年）春、劉禅一家が洛陽へ移住する際、董厥も樊建と共にこれに従い、相国参軍に任命された。その年の秋には、樊建と共に散騎常侍を兼任し、益州民心の鎮撫に尽力した。劉禅に従った蜀の旧臣の多くが列侯されたが、樊建の名がある一方で、董厥の名は記録されていない。

小説『三国志演義』では、蜀滅亡後、劉禅が洛陽へ向かう途中に病死した廖化を看病するも自身も病に倒れ、憂死したとされている。

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