董応挙

董応挙（とう おうきょ、1557年 - 1639年）は、明代の官僚であり、字は崇相、号は見龍と称しました。福州府閩県を本貫とします。

生涯

1598年、進士に合格し、その才能を認められて官界に入りました。最初に任じられたのは広州教授という役職でした。この地で、税監の李鳳と学舎の隣接地の利用をめぐって争いが発生します。李鳳の部下が駆けつけた際、董応挙は文廟の前にその馬を繋いで質とした逸話は、彼の名を広く知らしめることとなりました。

その後、董応挙は南京国子博士に任じられ、南京吏部主事に転じます。1612年には、吏部文選員外郎に昇進し、海禁について上奏するなど、積極的に政策に関与しました。その後、吏部考功郎中となりますが、一度辞職し帰郷します。

1615年、南京大理寺右丞として再び官界に復帰しました。1618年には、太陽黒点の観測や日食といった天変地異が相次ぎ、その折、董応挙は遼東の失陥と関連付け、「敵の侵攻が強まる兆し」と進言しますが、万暦帝には受け入れられませんでした。

1621年、董応挙は太常寺少卿に転じ、四夷館を監督する立場になります。1622年には、天啓帝の信任を得て、較射演武に専任しました。彼は北京の防衛を強化するため、険しい場所に駐屯地を設けることを上奏しています。

1622年4月、太僕寺卿・兼河南道監察御史に任じられた董応挙は、天津から山海関にかけての屯田事業を任されます。彼はこの事業において十の難題と十の利益を詳細に述べ、天啓帝から諸官にその意見に従うよう命じられました。遼の民13000戸余りを各地に分散させ、公費で民田を購入、荒れ地と合わせて広く耕作者を募り、農具や牛などを供与、水路を整備し、農耕技術を指導しました。その結果、55000石余りの穀物を収穫するという大きな成果を上げました。この功績により、1623年には右副都御史に昇進しています。

さらに、天津葛沽の兵士を屯田に従事させるよう進言し、食料増産をさらに進めました。董応挙が整備した屯田は、清代にも1800箇所ほど残っていたとされます。

1625年、董応挙は工部右侍郎に転じ、銭務を担当しました。その後、両淮の塩業への課税が貨幣鋳造の元手になるとの議論が起こると、戸部侍郎を兼任し、塩政を担当しました。揚州に赴任すると、塩の計量を正すよう上奏しましたが、巡塩御史との対立から、時の権力者である魏忠賢に弾劾され、失脚してしまいます。しかし、崇禎帝の時代になると、右侍郎として復職しました。

1639年、董応挙は83歳でその生涯を閉じました。彼は生前、『学庸略』2巻、『董崇相集』19巻などの著作を著しています。

子女

董鳴瑋

脚注

[1] 『明史』巻242 列伝第130

参考文献

『明史』巻242 列伝第130

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