蒔田町 (横浜市)

蒔田町（まいたちょう）

蒔田町は、横浜市南区に位置する単独町名で、住居表示は未実施です。面積は0.296平方キロメートル。

地理

蒔田町は、下末吉台地南部の沖積地、大岡川の右岸に位置しています。町の北部は大岡川に近い平地ですが、南東部には標高 54m、南西部には 35m の丘陵があります。西は大岡、北は宮元町・共進町・榎町、東は堀ノ内町、南は磯子区の滝頭・岡村に接しています。東蒔田町とは隣接していません。

町内には、UR 蒔田団地や分譲マンション、横浜市立蒔田小学校、横浜英和学院（小学校・中高一貫校）などがあります。横浜英和学院の南には曹洞宗の勝国寺、町の北部には高野山真言宗の無量寺があります。無量寺は源頼朝の庶子である貞暁が建立したと伝えられ、室町時代の不動明王像が本堂に祀られています。

現在、町域内に鉄道路線やバス路線はありません。最寄りの駅は、鎌倉街道（神奈川県道21号横浜鎌倉線）の地下を走る横浜市営地下鉄ブルーラインの蒔田駅です（所在地は宮元町）。

歴史

蒔田の地名は室町時代から見られ、1417 年の文献に「蒔田郷彦四郎在家事」という記述があります。横浜英和学院の敷地には、16 世紀に吉良氏の居城である蒔田城があったと考えられています。1984 年の発掘調査では、戦国時代の火鉢のかけらが発見されました。

江戸時代には幕府領となり、久良岐郡蒔田村となりました。『新編武蔵風土記稿』によると、江戸から 8 里半、東西 4,5 町・南北 7,8 町、家屋 30 軒余りでした。石高は 329 石余り。水利が悪く、ため池や大岡川から水を引いていました。

1868 年に神奈川県に所属し、1889 年に周辺の村と合併して大岡川村の大字となりました。1911 年に横浜市に編入され、工場誘致のため市税免除地域に指定されました。1913 年には横浜市電が開通しましたが、1968 年に廃止されました。1923 年の関東大震災では大きな被害を受けましたが、復興事業により街路整備や土地区画整理が行われました。1927 年に中区の町名となり、1943 年に南区が新設されると南区の町名となりました。

地名の由来

蒔田の地名の由来には、籾を直接耕地に撒く農法に由来する説や、『更級日記』に登場する「あすだ河（明田川）」が大岡川下流部を指す古名であり、「めいた」→「まいた」と転訛したとする説があります。蒔田という地名は、埼玉県秩父市や京都市東山区などにも存在します。

世帯数と人口

2023年4月30日現在の世帯数は3,072、人口は5,548人です。

学区

市立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りです。

小学校：横浜市立蒔田小学校
中学校：横浜市立南中学校

事業所

2021年現在の経済センサス調査によると、町内の事業所数は119、従業員数は1,014人です。

施設

学校法人横浜英和学院
青山学院横浜英和中学校・高等学校
青山学院横浜英和小学校
横浜英和幼稚園
日本郵便
横浜蒔田郵便局
曹洞宗 勝国寺
高野山真言宗 無量寺

警察

町内の警察の管轄区域は以下の通りです。

横浜南警察署

参考資料

『県別マップル14 神奈川県道路地図』昭文社、2016年
『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』角川書店、1984年
『横浜の町名』横浜市市民局総務部住居表示課発行、1996年
横浜市歴史博物館 2014『蒔田の吉良氏－戦国まぼろしの蒔田城と姫君－』横浜市ふるさと歴史財団
蘆田伊人編 編「巻ノ79 久良岐郡ノ7 蒔田村」『大日本地誌大系』 第8巻 新編武蔵國風土記稿4、雄山閣、1929年
* 横浜市町区域要覧

もう一度検索