薄 (駆逐艦)

薄（すすき）駆逐艦の歴史とその運命

薄（すすき）という名の駆逐艦は、大日本帝国海軍の樅型駆逐艦の十二番艦として設計され、1920年に建造が開始されました。艦は1921年に進水し、同年内に正式に竣工しました。この艦は時代の変わる中で、様々な任務に従事し、その歴史は日中戦争と太平洋戦争に深く刻まれています。

艦歴の概要

1920年5月3日、東京の石川島造船所で起工した薄は、1921年2月21日に進水し、5月25日に竣工しました。持つべき強烈な任務感と共に、艦は大日本帝国海軍の一員としての第一歩を踏み出しました。その後、1937年から1938年にかけての日中戦争では、華北沿岸での作戦に参加し、砲火に曝されながら任務を全うしました。

1940年4月1日、薄は哨戒艇に類別変更され、第三十四号哨戒艇へと改名されました。この変更により、艦は太平洋戦争においても重要な役割を果たすこととなり、特に南方での海上護衛や哨戒作戦に従事しました。

1943年3月6日、薄はカビエン南方で特務艦矢風との接触事故を起こし、その結果、艦は前部が沈没し、後部も大きなダメージを受けました。しかし後部には防水作業が施され、曳船でトラックへと移動しました。その後も艦はトラックを拠点とし続けました。

1944年にはトラック島襲撃を受けましたが、幸運なことに重大な被害は免れました。しかし、7月3日に再度訪れた米軍の攻撃によって、薄は最終的に沈没する運命を迎えました。1945年1月10日、艦は正式に除籍され、長い艦歴を閉じました。

沈没後の薄

薄は現在、夏島（デュブロン島）近くの水深約15メートルの海底にあり、左舷を下にした状態で沈没しています。この場所には、艦の後部砲座跡や仮設の艦首、機械室などの構造が残っており、艦の残骸からその歴史を感じることができます。

艦長の履歴

薄の艦長や艤装員長として、多くの将官がその指揮を執ってきました。艤装員長の石井先知少佐が1921年2月から3月にかけて着任し、その後、様々な少佐や大尉が艦の指揮をとっていきました。艦長としては、石井先知の後に西川速水、久我徳一、長尾惣助などが名を連ね、艦の運命を見守りました。

まとめ

薄の歴史は戦争の激しさの中で多くの試練を経てきました。艦が果たした役割は、海上での作戦の複雑さと、日本海軍の進化の一環として重要です。沈没したその後も、海底に眠る薄の姿は多くの海洋探検家や歴史愛好家の興味を引く存在として残っています。

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