薩摩犬

薩摩犬（さつまいぬ）について

薩摩犬は、鹿児島県に起源を持つ日本の犬種であり、かつてはその地域で飼育される重要な猟犬でした。この犬種は特にイノシシやウサギを狩る能力にすぐれ、地域の狩猟文化に寄与してきました。特に著名な存在として、西郷隆盛がこの犬を愛好していたことが知られています。彼は「ツン」という名前の雌犬を非常に可愛がり、上野駅にある西郷隆盛の銅像にはそのツンが描かれていると言われていますが、実際は仁礼景範の犬「サワ」を元にした姿です。

薩摩犬は他の犬種との交雑の影響を受け、1920年代には純血種としての存在が絶滅してしまったと考えられていました。ところが、昭和の終わり頃、鹿児島県の旧下甑村で、純血種に近い犬が生きていることが発見され、その後1989年から交配が始まりました。1996年には、その交配によって血統が安定したとして、4代目となる7匹に対して初めて血統書が発行されました。しかし、国や県の天然記念物としての指定は受けていないため、保存の努力はあまり進まなかったようです。

2000年までには約100匹に増えたものの、その後の保存会の活動が停滞してしまい、2010年頃には再度絶滅に至ったと伝えられています。さらに、遺伝子研究によると、薩摩犬は琉球犬に近く、南アジアの犬種とも関連性があることが示唆されています。

特徴

薩摩犬は中型犬に分類される犬種です。以下にその特徴をまとめます。

• - 耳: ピンと立っている
• - 目: 黒い瞳
• - 尾: ピンと立った差し尾を持つ
• - 体毛: 赤や黒地に茶色の毛色が見られる
• - 性格: 獰猛な一面を持ちながらも、穏やかで従順な性格が特徴です。

保存活動

薩摩犬の保存は、2005年時点で薩摩犬保存会によって行われていました。川上犬や琉球犬のように公共の天然記念物に指定されることはありませんでしたが、その存続を模索する動きは今なお続いています。

このように、薩摩犬は鹿児島の歴史や文化に深く根ざした犬種であり、その独自の遺伝的背景や特徴は、今後も注目を集めていくことでしょう。犬の品種一覧の中でも注目すべき存在であり、さらに関連する犬種には甑山犬、奄美犬、屋久島犬などが挙げられます。加えて、鹿児島ユナイテッドFCのマスコットキャラクター「ゆないくー」もまた、地域の犬文化の一部として親しまれています。

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