薬学校

薬学校の歴史とその意義

薬学校は、明治期から昭和初期にかけて日本において薬学を教授し、薬事関連の専門家を育てるための教育機関として発展しました。薬学教育の重要性が認識される中、1877年に東京医学校が東京大学医学部に改組され、医学科と製薬学科が設立されました。この時代、薬局は「薬舗」と呼ばれており、医学科または製薬学科を卒業した者は無試験で薬舗を開業することができました。

当時の医療制度の変革を背景に、1874年には医制が公布され、医学と製薬の知識を備えた人材が求められるようになりました。この流れに伴い、薬学校は薬舗の経営者となるための人材育成を目的として設立されることになったのです。こうして、薬学校は「薬舗主」を養成するための即戦力となる課程として位置づけられました。

1882年には、文部省によって「薬学校通則」が公布され、薬学校の種類について明確な基準が設けられました。これにより、甲種薬学校は修業年限3年以上、入学資格は18歳以上とされ、一方で乙種薬学校は修業年限2年以上、入学資格は16歳以上と定められました。このように、正式な教育制度が整備されることで、薬学の普及が促進されました。

1889年には「薬品営業並薬品取扱規則」が公布され、薬舗は薬局、薬舗主は薬剤師と正式に定義されることになりました。これにより、薬剤師の立場が明確になり、職業としての認識が高まりました。さらには、1921年に薬剤師試験規則が改正され、乙種薬学校は甲種薬学校または旧制薬学専門学校への昇格が求められる結果となりました。

主な薬学校の一覧

日本全国に設立された主な薬学校のいくつかを以下に示します。これらの学校は、いずれも地域の薬剤師教育の中心的な役割を果たしました。

• - 東京薬学校（1883年）→ 東京薬学専門学校 (旧制) → 東京薬科大学
• - 私立名古屋薬学校（1884年）→ 名古屋薬科大学（名古屋市立大学薬学部）
• - 石川県甲種医学校附設乙種薬学校（1885年）→ 金沢医科大学 (旧制) 付属薬学専門部 → 金沢大学薬学部
• - 私立熊本薬学校（1885年）→ 熊本薬学専門学校 (旧制) → 熊本大学薬学部
• - 大阪薬学校（1886年）→ 大阪薬学専門学校 (旧制) → 大阪大学薬学部
• - 私立京都薬学校（1892年）→ 京都薬学専門学校 (旧制) → 京都薬科大学
• - 共立富山薬学校（1894年）→ 富山薬学専門学校 (旧制) → 富山大学薬学部
• - 神田薬学校（1904年）→ 明治薬学専門学校 (旧制) → 明治薬科大学
• - 大阪道修薬学校（1904年）→ 道修女子薬学専門学校 (旧制) → 大阪薬科大学
• - 東京女子薬学校（1907年）→ 東京女子薬学専門学校 (旧制) → 明治薬科大学田無校
• - 静岡女子薬学校（1916年）→ 静岡薬科大学 → 静岡県立大学薬学部
• - 日本女子薬学校（1924年）→ 昭和女子薬学専門学校 (旧制) → 昭和薬科大学
• - 上野女子薬学校（1929年）→ 東京薬学専門学校女子部 (旧制) → 東京薬科大学
• - 神戸女子薬学校（1930年）→ 神戸女子薬学専門学校 (旧制) → 神戸薬科大学

このように、薬学校は日本の薬学教育の枠組みを形成し、質の高い薬剤師を輩出するための基盤を築いてきました。薬事制度が整備され、医療の進展に伴い、薬学教育もその時代に合わせて進化し続けています。これらの学校の歴史を振り返ることで、日本における薬学の発展の歩みを理解することができます。

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