薬菓

薬菓（薬果）について

薬菓、または薬果（약과、ヤックァ）は、朝鮮半島に伝わる伝統的な菓子である韓菓の一種です。これらの菓子は主に油と蜂蜜を使用し、韓国では古くから大切にされてきました。

概要

薬果は韓菓の中で代表的な「油蜜果」に分類される一品で、薬の「薬」は、蜂蜜とごま油を使用していることに由来しています。また、もともとナツメやクリ、ナシといった果物を模した形で作られていて、そのため「果」と名付けられています。これらの特徴から、薬果はその見た目の美しさと味わいの両面で楽しむことができるスイーツです。

伝統的な薬果の製造過程は以下のようなステップで構成されています。

1. 生地の準備: 小麦粉にごま油、蜂蜜、砂糖、水飴、そして焼酎を混ぜ合わせ、均一な生地を作ります。
2. 成形: 生地を台の上で引き伸ばし、包丁や型抜き器を使って好みの形に切り出します。
3. 揚げる: 低温の油で、煮るようにして揚げていきます。
4. シロップに浸す: 揚げた後、油を切り、水飴にショウガを加えたシロップに浸します。そして、余分なシロップを切ります。

薬果の特徴的な点は、完成後に生地が多層的に仕上がるところで、これにより食感が楽しめる点が大きな魅力です。この全工程にはおよそ5〜6日を要し、手間暇かけて作られた薬果は、常温で約3ヶ月はその品質を保つことができます。

韓国では、薬果は日常のスナックとしてだけでなく、先祖供養の供物や特別な日のお菓子としても親しまれてきました。家庭で手作りされることも多く、露店やスーパーでも手軽に購入でき、日本でもコリアンショップなどで見かけることができます。

しかし近年、尹瑞石氏は、現在流通している多くの薬果が伝統的な製法ではないと指摘し、本来の薬果の特徴を持つものは少ないと述べています。

日本への伝来

薬菓は15世紀頃、対馬や博多を通じて「くわすり」と呼ばれ、日本に伝わりました。16世紀後半から17世紀にかけて行われた大茶会や豪華な饗応の中で、薬菓は特に評価されていました。しかし、南蛮菓子の影響で次第にその存在感が薄れ、日本の菓子として変化し、18世紀にはほとんど消失してしまいました。唯一例外として、対馬では明治維新に至るまで朝鮮通信使をもてなす際にくわすりが作り続けられました。

結論

薬菓は韓国の文化や歴史を感じさせる伝統的なお菓子であり、その製造技術や食べるシーンは多くの人々に愛されています。薬果を通じて、韓国の甘味の魅力を感じることは、文化交流においても大切な意味を持つのではないでしょうか。

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