藍鉄鉱

藍鉄鉱：空気に触れると青緑色に変化する神秘の鉱物

藍鉄鉱（らんてっこう、vivianite）は、リン酸鉄を含む含水鉱物の一種です。その美しい青緑色の輝きは、多くのコレクターを魅了しています。

発見と命名

藍鉄鉱は、鉱物学者ジョン・ヘンリー・ヴィヴィアンによって初めて報告されたことから、彼の名前にちなんで命名されました。ヴィヴィアンは、この鉱物の特徴的な色合いに着目し、詳細な観察記録を残しました。

物理的性質

藍鉄鉱は単斜晶系に属し、モース硬度は1.5～2と非常に柔らかく、ナイフで簡単に傷つけることができます。比重は約2.67と比較的軽く、一方向に完全に劈開（へきかい）する性質を持っています。これは、鉱物が特定の方向に沿って容易に割れることを意味します。

色の変化

地中で産出される藍鉄鉱は、無色透明であることが多いです。しかし、一度地表に出て空気中の酸素に触れると、酸化反応が起こり、美しい青緑色から緑青色へと変色していきます。この色の変化は、藍鉄鉱の大きな特徴であり、その美しさの理由でもあります。変色の度合いは、空気への接触時間や周囲の環境によって異なります。このため、産出時の状態を維持するには、遮光し、酸素を遮断する特別な保存方法が必要です。さらに風化が進むと、最終的にはサンタバーバラ石という別の鉱物へと変化します。

共生鉱物

藍鉄鉱は、他の鉱物と共産することが多くあります。例えば、ラドラム鉄鉱との共産はよく見られます。また、コバルト華やニッケル華といった類縁体鉱物と共に産出することもあり、これら鉱物と藍鉄鉱は結晶形状や劈開性など、石膏と似た性質を持つ点が興味深いと言えます。藍鉄鉱のリン酸基がヒ酸基に置換されると、亜砒藍鉄鉱となります。同質異像の砒藍鉄鉱（Symplesite）は三斜晶系に属します。

産出地と天然記念物

日本では、栃木県の足尾銅山や大分県の姫島などで藍鉄鉱の産出が知られています。特に姫島産の藍鉄鉱は、その美しさから大分県の天然記念物に指定されています。これらの産地では、藍鉄鉱の結晶が、他の鉱物と共に、様々な形態で発見されています。

藍鉄鉱の美しさと科学的魅力

藍鉄鉱は、その美しい色と変化、そして他の鉱物との関連性から、鉱物学の分野で重要な研究対象となっています。また、その脆さと、保存の難しさも、藍鉄鉱をより魅力的な存在にしています。今後も、新たな発見や研究を通して、藍鉄鉱の神秘が解き明かされていくことが期待されます。

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