藤井皓玄

藤井皓玄：戦国時代の武将、その生涯と一族

藤井皓玄（ふじい こうげん）は、生年不詳ながら永禄12年（1569年）に没した戦国時代の武将です。彼は神辺城主・山名理興の二番家老として仕え、正霊山城主として高屋城主も兼務しました。

生涯

家臣時代

当時、井原荘は守護・細川氏や守護代・荘（庄）氏の勢力が衰退しており、備後との国境に位置していたため、備後国人衆の勢力に圧迫されていました。このような状況下で、井原荘は自衛力を高める必要に迫られ、その代表として藤井氏が推されたと考えられています。

この点について、詳細な史料は残っていませんが、立石定夫は著書『神辺城と藤井皓玄』で、「皓玄があれほどの勢力を持ち、正霊山城や高屋山城を築いて一族の居城とした背景には、このような事情があった」と指摘しています。

弘治3年（1557年）に山名理興が亡くなると、後継の神辺城主は吉川元春の強い推挙により、四番家老の杉原盛重に決定しました。この決定に不満を抱いた皓玄は、京都に身を隠すことになります。

反乱と自害

永禄12年（1569年）、織田信長の支援を受けた山中鹿介が山陰を、皓玄が神辺城をそれぞれ襲撃。同年3月4日、ついに神辺城を攻略しました。

これに対し、毛利元就は楢崎豊景、村上亮康らに命じて神辺城を攻撃させました。同年8月、皓玄は敗れて備中国浅口郡に逃れ、西大島の石砂で自刃しました。皓玄の首は楢崎豊景によって毛利元就の陣に届けられ、元就はこれを大いに喜びました。

親族

藤井皓玄には4人の男子がいたとされています。

長男の新助広吉は、勇猛な武将として知られ、吉備津宮に長さ7尺の野太刀を奉納したと伝えられています。永禄12年8月の神辺城の戦いでは、先陣を務めて勇戦しましたが、楢崎少輔三郎に討たれて戦死しました。この時、三男の喜三郎も討死したと言われています。
次男の市之丞広貞は、父・皓玄に最後まで付き従いましたが、皓玄の戦死後、吉井に帰還。その後、自刃して生涯を終えたと伝えられています。
四男の好恒は、合戦当時まだ10歳にも満たない少年だったため、成羽の三村親成に預けられました。その後、美作国久米郡神月村の小坂氏に預けられ、元服して小坂信濃守利直と名乗りました。この好恒、すなわち利直の娘お登久が、備中を放浪中の水野勝成と出会い、後の備後福山藩二代藩主・水野勝俊を産みました。

藤井皓玄を扱った作品

藤井茂『藤井皓玄 小説 乱世の舞』文芸社、2005年9月

参考文献

立石定夫『神辺城と藤井皓玄』内外印刷、1990年8月。

外部リンク

高屋城跡 - 岡山県古代吉備文化財センター

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