藤倉勇樹

藤倉勇樹六段：個性的な棋風と指導者としての顔

藤倉勇樹六段は、1979年10月23日生まれの日本の将棋棋士です。棋士番号は245番。桜井昇九段を師事し、東京都新宿区出身という経歴を持ちます。

プロとしての歩み：華々しい昇段からフリークラス転落まで

2002年、三段リーグで13勝5敗の好成績を収め、見事四段に昇段。プロ棋士としての道を歩み始めます。その後、竜王戦ではランキング戦で準決勝に進出するなど活躍を見せますが、順位戦では苦戦が続きました。7期在籍するも、5勝5敗という成績に終わり、3度目の降級点を取り、30歳という若さでフリークラスに転落。この早さは、熊坂学氏に次ぐ史上2番目の若さでした。

フリークラスに転落後も、藤倉六段は棋士としての道を諦めませんでした。2015年には、NHK杯将棋トーナメントの本戦出場を果たし、第一線で活躍する棋士と対戦する機会を得ます。しかし、フリークラス在籍期限である2019年度まで規定の成績を挙げることが出来ず、2020年度以降の公式戦への参加資格を失うこととなりました。

例外的に参加資格が認められた竜王戦では、5組残留を続け、現役棋士としての道を維持しようと努力します。しかし、4組昇級が現役継続の必須条件となった第35期竜王戦では、ランキング戦、昇級者決定戦で初戦敗退。そして2022年5月19日、藤森哲也五段との残留決定戦で敗れ、現役生活に幕を閉じました。引退時点では、引退棋士の中で最も新しい四段昇段者であり、棋士番号も引退棋士の中で最大でした。

棋風：振り飛車党の異才

藤倉六段は振り飛車党として知られ、特に四間飛車を駆使した戦法を得意としていました。対トーチカ、対居飛車穴熊、相振り飛車など、幅広い戦型を操り、相手を翻弄する独特の棋風で多くのファンを魅了しました。

指導者としての貢献：後進の育成に情熱を燃やす

プロ棋士としての活動に加え、藤倉六段は将棋の普及にも大きく貢献しました。特に初心者、特に小中高生への指導に熱心に取り組み、その丁寧な指導は高い評価を得ています。アマチュア目線に立った分かりやすい指導で、多くの子供たちに将棋の魅力を伝えました。

NHK杯の記録係を務めた経験もあり、プロ入り後も継続してその役割を担っていました。また、作家内館牧子さんへの指導対局も経験し、その際に「棋界屈指の美男子」と評されたエピソードも残っています。2010年には「志木こども将棋教室」、2016年には「東新宿こども将棋教室」を開室し、後進の育成に尽力しました。

棋書・ゲームへの貢献

藤倉六段は、棋書も多数執筆しています。『新・振り飛車党宣言！』シリーズや『相振り飛車 基本のキ』、『美濃囲いを極める』シリーズなど、振り飛車党としての経験と知識を活かした内容で多くの読者に支持されました。また、Nintendo Switch用ソフト『棋士・藤井聡太の将棋トレーニング』では将棋アドバイザーを務めるなど、幅広い分野で活躍しました。

引退後

2022年の引退後も、藤倉六段は将棋界への貢献を続けています。引退棋士昇段規定により、2024年4月には六段に昇段しました。その棋士人生は、華々しい活躍だけでなく、フリークラスでの奮闘、そして後進育成への貢献という多面的な側面を示すものでした。将棋界に大きな足跡を残した棋士として、これからも記憶され続けるでしょう。

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