桜井昇

桜井昇九段：将棋界に貢献した棋士の生涯

桜井昇九段は、1941年5月10日、群馬県吾妻郡長野原町に生まれました。原田泰夫九段を師事し、1965年4月1日に24歳でプロデビューを果たします。棋士番号は90番です。

プロ入り直後から活躍を見せ、1965年度の順位戦C級2組では8勝4敗という好成績でC級2組を1期で抜け、同時に五段に昇段しました。続く1966年度には、古豪新鋭戦で優勝。決勝では北村秀治郎九段を破る快挙を成し遂げています。決勝までの道のりも、当時十代の中原誠名人と対戦するなど、波乱含みの戦いを制しました。

その後も第一線で活躍を続け、1975年度の王座戦ではベスト4、新人王戦では決勝に進出するなど、数々のタイトル戦で好成績を残しました。順位戦では、1972年度のC級1組で8勝2敗の成績を収め、B級2組に昇級、六段に昇段しました。また、1981年度のNHK杯戦でもベスト4まで勝ち進みました。

晩年は、順位戦C級2組で苦戦が続き、2006年度は2勝8敗と低迷。フリークラス規定により、2007年3月31日付で現役を引退しました。引退時点では竜王戦4組昇級者決定戦への出場権が残っており、1回戦を不戦勝で勝ち進んだものの、2回戦で敗退。公式戦の舞台から姿を消しました。

現役生活においては、484勝703敗という成績を残しました。

現役引退後も、桜井九段の将棋界への貢献は続きます。日本将棋連盟では常務理事や理事を歴任し、普及活動や広報活動に尽力しました。師匠である原田泰夫九段が指導にあたる杉並区将棋連盟では、土佐浩司八段や鈴木環那女流三段らと共に指導対局や講座を実施。後進の育成にも力を注ぎました。

桜井九段は多くの弟子を育成し、プロ棋士だけでなく、女流棋士も輩出しています。自宅で研究会を開くなどして、熱心に指導にあたってきました。特に、藤倉規子女流二段と横山和美女流初段は、2002年10月1日に同時にプロ入りしたことで知られています。さらに、藤倉門下からは和田あき女流初段、和田はな女流初段と女流棋士が誕生しており、桜井九段の指導が、将棋界に多大な影響を与えていることが分かります。

プライベートでは、野球観戦を趣味としており、日本将棋連盟野球部でプレーした経験も持っています。当時の総監督は丸田祐三九段、監督は二上達也九段だったとのことです。

また、1972年7月26日に行われた早指戦では、下平幸男六段との対戦で5手詰めで勝利したという記録も残しています。これは、不戦敗や反則を除く最短手数勝利と言われています。

昇段歴は、1953年に奨励会に入会後、1957年に初段、1965年に四段でプロ入り。その後、1966年に五段、1973年に六段、1983年に七段、2002年に八段に昇段し、引退後の2022年に九段に昇段しています。

桜井昇九段は、その棋士としての功績だけでなく、普及活動や後進育成への貢献など、将棋界全体への多大な影響を与えた人物として、記憶に留められるべき存在です。 数々のエピソードや、棋士として、指導者としての両面から将棋界に貢献した桜井昇九段の生涯は、未来の棋士たちにとっても貴重な教訓と励みとなるでしょう。

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