藤原宮子

藤原 宮子（ふじわら の みやこ）

藤原宮子は、文武天皇の妻であり、史上初めて生前に正一位に叙された女性である彼女の人生は、奈良時代の日本史において特異な存在となっている。彼女は藤原不比等と賀茂比売の娘であり、聖武天皇の皇后である光明皇后とは義理の親子に当たる。

略歴

文武天皇元年（697年）、宮子は持統天皇からの譲位を受けた文武天皇の即位直後に夫人となった。同時期に紀竈門娘や石川刀子娘も害妃に選ばれたが、宮子はその中で特異な地位を築いた。不比等の権力が高まる中で、彼女もその影響を受けていたと考えられる。彼女の夫人号は後世の解釈によるものであり、制度化された時代の変化も影響を与えたとされる。

大宝元年（701年）には首（おびと）皇子を産むが、その後心的障害を患い、長期間皇子と対面することができなかった。しかし、養老7年（723年）に従二位に叙され、724年にはついに正一位を賜り、大御祖（皇太夫人）の称号を手に入れた。病気から回復した天平9年（737年）、息子である天皇との対面が実現した。

749年には孫が即位し、宮子は太皇太后の称号を得たが、754年に崩御した。享年はおよそ70歳と推測され、彼女の葬儀は盛大に執り行われ、命日は国忌として記憶されることとなった。

紀州の海女説

梅原猛によると、宮子は紀州の海女であり、不比等の養女であったという説が存在する。文武天皇が紀州に行幸した際に見初めた海女が宮子であり、彼女を藤原家の血筋として夫人に迎えることとなったとされる。この伝説は室町時代の能『鐘巻』に初めて記載され、後に江戸時代に宮子関連の物語が流布することになる。

宮子姫髪長譚

道成寺で語り継がれている伝承によると、宮子は九海士の里で生まれたとされ、その物語は道成寺周辺の地域でも広く知られている。さまざまな出典によって細かい部分が異なり、特に奈良に届けられた髪の毛を運んだ鳥がツバメであったかどうかに関しての差異が見られる。

玄昉との関係

僧侶の玄昉は、宮子の病気からの回復に関与したとされる彼は、後に権力を振るうことになる。玄昉と宮子との関係については多くの史料に記されていますが、正確な詳細は不明瞭である。彼の権力の拡大と彼を巡る噂は、後世のさまざまな物語の背景となった。

まとめ

藤原宮子は、その人生を通じて多くの伝説を生み出し、日本史に名を刻む存在となった。彼女の物語は、道成寺に伝わる伝承や紀州の海女に関する説を通じ、現在でも語り継がれている。病気を克服し、天皇の后としての役割を果たした彼女の存在は、後の時代にも影響を与え続けている。

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