藤原工業大学 (旧制)

藤原工業大学の歴史と概要

藤原工業大学（ふじわらこうぎょうだいがく）は、1939年に設立された日本初の私立工業単科大学です。この大学は、王子製紙社長であり慶應義塾卒業生の藤原銀次郎が理工系人材の育成を目指して私財を投じて設立されました。設立当初は慶應義塾とは一体的に運営され、徹底した工業教育を提供しました。

1. 設立の背景

藤原銀次郎は理工科の優秀な人材を育成するために800万円の資金を提供し、当時の慶應義塾長である小泉信三の協力を得て、1939年に藤原工業大学の設立が国から認可されました。初めての入学式は同年6月17日に行われ、予科第1期生が入学しました。大学の最初のキャンパスは日吉キャンパス内に位置していました。

2. 初期の教育体制

藤原工業大学は当初、機械工学科、電気工学科、応用化学科の三学科からなる6年制の教育体系を構築していました。学生はまず予科で3年学んだ後、本科に進むことができました。大学の教育と研究は、慶應義塾との密接な関係に基づき、予科への推薦入学制度が導入されるなどしていました。学生の制服も慶應義塾と共通のデザインが採用されました。

3. 校章と校旗

校章には独自のデザインが用いられ、「歯車」をモチーフにし、その中に「藤の花」が描かれていました。また、校旗のデザインは慶應義塾の三色旗に似た青・赤・青の縞模様が使用され、その中央には「歯車」の校章が掲げられました。

4. 慶應義塾との統合

1944年には、大学は藤原銀次郎の意向に基づいて慶應義塾に併合され、「慶應義塾大学工学部」となりました。その後、1949年には新制工学部が発足し、1981年4月には「慶應義塾大学理工学部」と改組されました。

5. その後の展開

また、藤原工業大学には中等教育段階で工業人を育成するための「藤原工業学校」が併設されていましたが、後に統合や学制改革により廃校となりました。藤原工業大学の開校の地を記念する碑が日吉キャンパス内に建立され、その除幕式は2014年3月1日に行われました。

6. 沿革の詳細

• - 1939年 5月26日: 藤原工業大学の設置が国から認可。 6月17日: 開校式実施。
• - 1944年 8月5日: 慶應義塾大学に統合され、工学部となる。
• - 1949年 3月31日: 工業学校が廃止される。
• - 2014年 3月1日: 開校の地記念碑の除幕式が行われる。

7. 著名な出身者

藤原工業大学の出身者には、経済学部に転部した綿貫民輔やアナウンサーの吉村光夫などがいます。

藤原工業大学は、現在の慶應義塾大学理工学部にその遺産を引き継いでおり、日本の工業教育の発展に寄与してきた重要な教育機関であることがわかります。設立当初から続く理工系人材の育成という理念は、今もなお大切に受け継がれています。

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