藤原書店

株式会社藤原書店の概要

株式会社藤原書店（ふじわらしょてん）は、日本の出版社で、主に歴史学、経済学、社会学、女性学など、社会科学分野に特化した専門書や教養書を出版しています。東京都新宿区の早稲田鶴巻町に本社を構えるこの出版社は、1989年に設立され、以降、日本の学術界において重要な存在となっています。

設立と出版の歴史

藤原書店は、1989年11月に新宿区市谷柳町で藤原良雄により設立されました。翌年の1990年3月に本格的な出版活動を開始し、1999年には現在の早稲田鶴巻町に事務所を移転しました。同社の初期の重要な出版物として、1991年から1995年にかけてフェルナン・ブローデルの『地中海』全5巻がありました。この大著は多くの研究者から翻訳を待望されており、藤原書店の創業期における大きな成功の一つとなりました。

藤原良雄の社会的活動

藤原良雄は、後藤新平の会や野間宏の会などの幹事を務め、また河上肇の業績を称賛する東京河上会の幹事でもありました。藤原書店は2005年から河上肇賞を主催しており、これは新しい研究や業績を評価するための賞でしたが、2021年をもって募集は終了しました。

一般読者向けの活動

2002年には一般読者向けの「藤原書店ブッククラブ」が発足しました。2020年時点では社員が10名で運営されており、同社の出版戦略は「少部数、高価格」を基本としています。また、新刊の売り込みにおいては書店への委託配本を行わず、書店員から直接の発注を促す方針を取っています。

受賞歴

藤原書店は多くの受賞歴を誇ります。2007年には、鶴見祐輔著・一海知義校訂の『〈決定版〉正伝 後藤新平』全8分冊が毎日出版文化賞を受賞しました。また、2018年にはアカデミー・フランセーズから文学顕揚賞を受賞し、2021年には井上靖記念文化賞特別賞を受賞しました。

主な発行物と雑誌

藤原書店が刊行する雑誌には、学芸総合誌の季刊『環』があります。これは2000年4月に創刊され、「歴史・環境・文明」というサブタイトルのもと、新時代に向けた知の総合を目指しています。判型は菊大判で、平均320ページ、価格は2,200円から3,960円の間です。2015年5月には第1期が終刊し、以降は別冊として不定期に刊行されています。

その他にも、様々な全集や著作集が発行されています。たとえば、鶴見和子の作品をまとめた『鶴見和子曼荼羅』や、石牟礼道子に関する全集などが含まれています。また、翻訳書としてはバルザックの『人間喜劇』全13巻や、ブルデューの『ディスタンクシオン』など、数多くの重要な作品が出版されています。

まとめ

株式会社藤原書店は、社会科学における重要な文献を提供する日本の出版社です。その活動は、専門的な出版物の発行のみならず、文化的な賞を通じた貢献や一般読者向けのサービス提供にまで及んでいます。今後もその存在感を続けていくことが期待されます。

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