市谷柳町

市谷柳町（いちがややなぎちょう）

概要

市谷柳町は、新宿区の東部に位置する町名で、丁目を持たない単独の町です。住居表示は未実施で、古くからの地名が残っています。この地域は、幹線道路沿いに商店やマンションが立ち並ぶ一方で、一歩入ると静かな住宅街が広がっています。年間を通して地域住民による祭礼が催され、活気のある一面も持っています。

地理

市谷柳町は、新宿区の東部に位置し、かつての東京市牛込区の一部です。北は弁天町、東は市谷山伏町と市谷甲良町、南は市谷薬王寺町、西は原町と隣接しています。町域内には外苑東通りと大久保通りが交差し、この交差点が地域の中心となっています。この地域は、武蔵野面と下末吉面の境に位置し、浅い谷が形成されています。

歴史

市谷柳町の歴史は、江戸時代に遡ります。明暦の大火以降、被災者の移住により町人地が形成され、当初は代官領でしたが、後に町奉行の管轄となりました。町名の由来は、窪地に柳が多く生えていたという伝承がありますが、詳細は不明です。江戸時代には、寺町として蝋燭問屋が多く存在し、賑わいを見せました。

明治時代に入り、周辺の武家地や寺社領を合併し、現在の市谷柳町が成立しました。その後、外苑東通りと大久保通りの開削により、一部の番地が消滅しました。1970年には、「牛込柳町[[鉛中毒事件]]」が発生し、社会的な注目を集めましたが、その後の調査で問題はなかったとされています。この事件を契機に、都内の生活道路で大型貨物自動車の通行が規制されるようになりました。

牛込柳町[[鉛中毒事件]]

1970年、市谷柳町交差点付近で自動車の排気ガスによる大気汚染が問題となり、住民から鉛中毒の疑いが指摘されました。民間の医療団体の発表により、この問題はマスコミに大きく取り上げられましたが、その後の東京都による調査では、大気中の鉛濃度や住民の血液中の鉛濃度は通常範囲内であることが確認されました。しかし、この事件は、都内の生活道路における大型貨物自動車の乗り入れを規制するきっかけとなりました。

地名の由来

市谷柳町という地名は、この地域に柳が多く生えていたことに由来すると言われていますが、詳細は不明です。一説には、窪地であったために柳が多かったとも伝えられています。

人口と世帯数

2023年1月1日現在、市谷柳町の世帯数は930世帯、人口は1,344人です。人口と世帯数は共に近年横ばいで推移しています。

教育

市谷柳町は、新宿区立市谷小学校と新宿区立牛込第一中学校の学区に属しています。

交通

市谷柳町駅は、都営地下鉄大江戸線の駅で、町域内に南東口があります。バスの便も充実しており、交通の便が良い地域です。駅名は、かつて同じく都電の停留所であった小石川柳町（現在の文京区）との区別のため、旧東京市牛込区の市谷柳町の名が採用されました。

事業所

2021年現在、市谷柳町には35の事業所があり、307人が従業員として働いています。事業所数、従業員数ともに、近年は安定した推移を見せています。

主な施設

• - 宗圓寺
• - 試衛館跡
• - 医療法人社団鉄友会 柳町病院
• - 介護付有料老人ホーム メディアシスト市谷柳町
• - 淡交社東京支社
• - 茶道具みやした 東京道場前店

その他

市谷柳町の郵便番号は162-0061で、牛込郵便局が管轄しています。

外部リンク

• - 新宿区公式サイト
• - 国立環境研究所 上原 清著、『都市の風と大気汚染』
• - かつて自動車公害の象徴だった市谷柳町

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