藤尾純

藤尾純：喜劇の脇役として愛された昭和の俳優

藤尾純（ふじお じゅん、1911年11月3日 - 1987年3月12日）は、日本の俳優として戦前から戦後にかけて活躍しました。大阪府大阪市出身、本名は藤尾徳二。

若き日に中外商業高等学校を中退後、1927年、諸口十九一座に入団。京都座で初舞台を踏み、その後は浅草カジノ・フォーリーやムーランルージュ新宿座などでも活躍の場を広げました。榎本健一らと共演した経験も持ちます。

戦後は新風ショウを結成し、喜劇の脇役として多くの人々に親しまれました。その軽妙な演技は、多くの観客を魅了したと伝えられています。

映画界では、戦前から東宝を中心に数々の作品に出演。コミカルな役どころからシリアスな役まで幅広くこなす実力派でした。『女殺油地獄』、『忠臣蔵』といった時代劇から、『お転婆社長』のような現代劇まで、多彩なジャンルでその存在感を示しました。1965年、東京映画製作の『大勝負』を最後に映画界を引退し、以後は舞台に専念しました。

1987年3月12日、75歳で亡くなりました。

華麗なる一族

藤尾純の私生活にも注目が集まります。彼の長女は、戦後の日本映画を代表する女優の一人である中原早苗です。早苗が幼少期に家を出た後、藤尾の妻・南部雪絵が一人で子育てをしたというエピソードも伝わっています。さらに、娘婿は名匠・深作欣二監督であり、孫の深作健太も映画監督として活躍していることから、映画界に多大な影響を与えた一族と言えるでしょう。

テレビドラマでの活躍

映画界引退後も、藤尾純はテレビドラマで活躍を続けました。特に『銭形平次』では、長きに渡り「三の輪の万七」役としてレギュラー出演。視聴者から愛されるキャラクターを演じきり、番組を支える存在となりました。その他にも、『水戸黄門』、『遠山の金さん』、『必殺シリーズ』など、時代劇を中心に数多くの作品に出演。脇役ながら、その存在感は圧倒的で、作品に深みを与えていました。コミカルな役柄から渋い役柄まで、幅広い演技力を見せつけ、視聴者から高い支持を得ていました。

代表作一覧

映画

女殺油地獄 (1936年)
歌う弥次喜多 京・大阪の巻 (1937年)
絵本五十三次 (1938年)
幼い英雄たち (1938年)
むかしの歌 (1939年)
沼津兵学校 (1939年)
忠臣蔵 前篇・後篇 (1939年)
プロペラ親爺 (1939年)
唄へ河風 (1939年)
お転婆社長 (1940年)
大当り狸御殿 (1958年)
美女と液体人間 (1958年)
大勝負 (1965年)

テレビドラマ

銭形平次
天を斬る
水戸黄門
大岡越前
遠山の金さん捕物帳
プレイガール
必殺シリーズ
助け人走る
吉宗評判記 暴れん坊将軍
なにわの源蔵事件帳
松平右近事件帳

藤尾純は、個性豊かな脇役として昭和のエンターテイメント界を支えた、まさに名バイプレイヤーでした。その存在感は、多くの作品に温かさと深みを与え、人々の記憶に鮮やかに刻まれています。彼の功績は、これからも長く語り継がれていくことでしょう。

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