大当り狸御殿とは？意味をやさしく解説

大当り狸御殿

『大当り狸御殿』は、1958年2月26日に東宝系で公開された、宝塚映画製作のミュージカル時代劇コメディです。カラー作品で、東宝スコープで撮影されました。上映時間は98分。

概要

本作は、戦前から大映などで製作されてきた木村恵吾の「狸御殿」を原作としています。東宝傍系の宝塚映画が製作し、シリーズ初のカラー作品であり、シネマスコープ作品として公開されました。また、東宝が製作した唯一の「狸御殿」シリーズ作品です。物語は、狸御殿の姫君・きぬた姫と、彼女にそっくりな城下の旅籠の女中・お黒が、お互いの立場を入れ替えて、それぞれの恋を成就させようとする姿を描いています。

主演は、当時人気を博した三人娘の一人、雪村いづみがきぬた姫とお黒の二役を演じました。同じく三人娘の一人である美空ひばりが、きぬた姫の婚約者候補である若君役を、そして「三人娘映画」の常連である山田真二が、きぬた姫が恋する若侍役を演じました。

助演には、ベテラン喜劇俳優の清水金一、上方漫才師のミヤコ蝶々・南都雄二、中田ダイマル・ラケットなど、多彩な顔ぶれが揃いました。さらに、東宝特撮でお馴染みの佐原健二や河内桃子も出演。特筆すべきは、当時「バナナ・ボート」をヒットさせていた歌手・浜村美智子が、城のショーの歌手役として、カリビアン風の衣装で「バナナ・ボート」を披露するシーンです。司会役はトニー谷が務めました。

2005年 3月25日には、東宝からDVDが発売されています。

ストーリー

狸御殿では、姫君・きぬた姫の誕生会が間近に迫っていました。隣国の若君・狸吉郎との政略結婚を嫌がるきぬた姫は、城を抜け出して城下へ。一方、狸御殿ではきぬた姫の替え玉として、彼女にそっくりな旅籠の女中・お黒が姫の役を演じることになります。城下に出たきぬた姫は、山賊に襲われたところを、若侍・狸千代に助けられ、二人の間に恋心が芽生えます。

その後、きぬた姫は間違われて女中として働くことになり、そこで狸千代と再会します。年に一度の「狸祭り」で、きぬた姫は家老に捕まってしまいますが、お蝶の協力で狸千代が彼女を救い出します。そして、狸千代はきぬた姫に、立派な女王になるよう勧めます。一方、お黒は役目を終えて寂しくしていましたが、狸吉郎が彼女に手を差し伸べます。そして、二人はきぬた姫の誕生会に出席します。

スタッフ

製作：杉原貞雄
原作：木村恵吾
脚本：中田竜雄
監督：佐伯幸三
撮影：岡崎宏三
音楽：松井八郎
美術：小川一夫
照明：下村一夫
録音：中野倫治
振付：県洋二、渡辺武雄

キャスト

きぬた姫／お黒：雪村いづみ
狸吉郎：美空ひばり
狸千代：山田真二
もん白のお蝶：白川由美
森の女王蜘蛛：淡路恵子
狸左衛門：有島一郎
豆太郎：井上大助
泥右衛門：永田靖
土竜の七兵衛：藤尾純
蟇三：清水金一
阿波守：左卜全
狸路局：千石規子
星之丞：泉高志
お園：峯京子
胡萩：環三千世
トニ川狸之丞：トニー谷
つづみ屋の泊まり客：ミヤコ蝶々、南都雄二、中田ダイマル、中田ラケット
歌う男：佐原健二
歌う女：河内桃子
浜村狸：浜村美智子

同時上映

「別れの波止場」（企画：宇佐美進／脚本：新井一／監督：山崎裕里／主演：春日八郎／宝塚映画作品）

大当り狸御殿