藤岡豊

藤岡豊の業績と生涯

藤岡豊（ふじおか ゆたか、1927年6月19日 - 1996年3月30日）は、日本のアニメーション界において重要な役割を果たしたプロデューサーです。彼は和歌山県で生まれ、京都大学の農学部に入学したものの、学業は中退。その後、大丸百貨店での勤務を経て、人形劇の世界に入ります。彼のキャリアのスタートは1956年、28歳の時に人形劇団「ひとみ座」に加わることから始まりました。

アニメーションの道へ

藤岡は最初、台本作家としての意欲を持ち、脚本の執筆に挑むも、次第に演技部門に転向しました。特に営業と声優業を兼任しながら、彼は人形劇の制作に携わります。1963年には「ひとみ座」においてTBSと契約し、人形劇『伊賀の影丸』の制作を担当。その際、アニメの可能性を感じ、TBSの経営陣の勧めを受けてアニメ制作に関与することになります。

1964年8月19日、藤岡は自身が代表を務める「東京ムービー」を設立しました。手塚治虫原作の『ビッグX』を第1号作品としてスタート。東京ムービーの成立初期は、彼が持つ人形劇の経験を活かしつつアニメーション制作に取り組んだものの、スタッフにアニメの専門家が不足していたため、苦境に立たされました。重い赤字に悩み、まもなく倒産の危機に直面します。

東京ムービーの成長

経営再建の過程で、藤岡は取締役制作部長に降格しますが、国際放映の専務も兼任して再建に尽力します。1972年からは実写映画の企画にも関与し、エンターテインメントの幅を広げていきました。1975年には国内外の協力をもとにしたフルアニメーションを目的に、テレコム・アニメーションフィルムを設立し、より大きな野望に挑戦します。

藤岡の手がけた作品には、『巨人の星』や『ルパン三世』などの名作が含まれ、特に『ムーミン』の制作においては、担当が途中で変わるなどの問題もありました。しかし、彼は優れた製作者やスタッフを多く引き入れることに成功し、アニメ界での立ち位置を確立しました。彼の勧誘によって長浜忠夫や宮崎駿、高畑勲などが東京ムービーに参加し、平均的なアニメ制作会社から飛躍的な成長を遂げました。

海外進出と『NEMO/ニモ』

藤岡は、アニメーションの国際化にも意欲を示しましたが、特にウィンザー・マッケイの作品『夢の国のリトル・ニモ』の映画化は彼のライフワークとも言えるものでした。『NEMO/ニモ』の製作には10年もの歳月を費やし、その結果が期待通りではなかったため、アニメ界から退く決断をしました。この試みは後に宮崎駿や高畑勲が監督した作品に繋がり、彼の影響力は映画の技術に引き継がれました。

藤岡の死とその後

藤岡は1991年にアニメ映画『NEMO/ニモ』の失敗の責任を取る形で、東京ムービーの関連権利を手放しました。その後はキッズワールドで活動。その68年の生涯を1996年に閉じました。亡くなった後、2005年には東京国際アニメフェアでの特別功労賞を受賞し、彼のアニメ制作への貢献が公式に評価されました。藤岡豊の残した業績は、現在のアニメーション界に多大な影響を与え続けています。

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