伊賀の影丸

伊賀の影丸：横山光輝による忍者漫画の金字塔

概要

『伊賀の影丸』は、巨匠・横山光輝が1961年から1966年にかけて『週刊少年サンデー』で連載した忍者漫画です。江戸時代を舞台に、幕府の隠密として活躍する伊賀流忍者・影丸の活躍を描いています。全9編の本編に加え、番外編3編も収録され、数々の個性的な敵忍者との手に汗握る忍術合戦が展開されます。

黒装束と鎖帷子：忍者のビジュアルイメージを確立

本作は、黒装束に鎖帷子を着用する忍者のイメージを、少年[[漫画]]において決定的に確立した作品として知られています。子供たちを魅了した忍術合戦は、複数対複数の戦いを駒取り合戦のように描くことで、漫画の枠を超えた独特の緊張感と興奮を生み出しました。

山田風太郎の小説『忍法帖シリーズ』の影響も大きく、特に甲賀七人衆などは、小説の設定をそのまま子供向けにアレンジしたような印象を受けます。しかし、単なる翻案に留まらず、『伊賀の影丸』は、少年[[漫画]]における新たなスタンダードを確立しました。個性豊かな特殊能力を持つキャラクターたちが、敵味方入り乱れて戦うという、現在でも多くの少年[[漫画]]に見られるスタイルの先駆けとなったのです。

超人的な忍者像と歴史的認識への影響

本作の忍者たちは、基本的に人間の姿をしていますが、特殊能力を持つ超人的な存在として描かれています。これは後の『仮面ライダー』シリーズの改造人間などに影響を与えたと言えるでしょう。一方で、忍者は忍法で戦うという、史実とは異なる認識を子供たちに与えたという点も、その大きな影響力の表れと言えるでしょう。

連載終了と『飛騨の赤影』

人気絶頂にあった『伊賀の影丸』ですが、横山光輝は特撮テレビドラマの原作依頼を受け、『飛騨の赤影』（後に『仮面の[[忍者 赤影]]』）の連載を開始し、『伊賀の影丸』はそれと入れ替わる形で連載を終了しました。この背景には、白土三平の漫画『ワタリ』のテレビ化企画が急遽中止になったことへの代替策という事情もあり、また「影丸」という名前も白土三平のヒット作『忍者武芸帳』の主人公の名前であることから、同ジャンルで先行する白土三平の影響も否定できません。

影丸と服部半蔵：主要登場人物

主人公の影丸は架空の人物ですが、剣術、手裏剣術、そして様々な忍術を駆使する高い戦闘能力を持ちます。彼独自の忍術には、「木の葉隠れ」や「木の葉火輪」などがあり、必ずしも敵にとどめを刺すものではなく、最終的には剣や手裏剣で決着をつけることが多いです。

一方、服部半蔵は公儀隠密の総元締で、影丸たちに指令を与え、徳川家への謀反や不穏な動きを事前に防ぐ役割を担っています。老齢ながら、その腕前は衰えていません。ただし、史実の服部半蔵とは異なる設定であることに注意が必要です。

様々なエピソード：若葉城の巻、由比正雪の巻など

『伊賀の影丸』は、複数のエピソードで構成されています。「若葉城の巻」では、若葉藩に潜入した甲賀七人衆との戦いが描かれ、「由比正雪の巻」では、慶安事件の首謀者・由比正雪の追跡劇が展開されます。その他にも、「闇一族の巻」、「七つの影法師の巻」、「半蔵暗殺帳の巻」、「地獄谷金山の巻」、「邪鬼秘帳の巻」、「土蜘蛛五人衆の巻」、「影丸旅日記の巻」など、多彩なエピソードが読者の心を掴みました。それぞれの巻には、個性豊かな敵忍者や公儀隠密が登場し、影丸は数々の困難に立ち向かいます。

映画化と人形劇

『伊賀の影丸』は1963年に東映によって実写映画化されています。また、1963年から1964年にかけてはTBS系で人形劇が放送されました。これらの映像作品は、原作漫画とは異なる独自の設定やストーリーで展開されており、漫画とは違った魅力を味わうことができます。さらに1972年にはフジテレビでスチールアニメーション方式のシリーズも放送されています。

まとめ

『伊賀の影丸』は、横山光輝の代表作の一つであり、少年[[漫画]]史に大きな足跡を残した作品です。その魅力は、影丸の活躍、個性的な敵忍者たち、そして手に汗握る忍術合戦にあります。単なる忍者漫画の枠を超え、少年[[漫画]]のジャンルに新たな方向性を示した作品として、高く評価されています。

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