藤本二三吉

藤本二三吉の生涯と業績

藤本二三吉（ふじもと ふみきち、1897年11月23日 - 1976年10月29日）は、昭和時代に活躍した著名なうぐいす芸者歌手で、本名は藤本婦美です。彼女は東京市浅草区に生まれ、江戸っ子としての文化を受け継ぎながら成長しました。特に音楽に対する情熱は幼少期から現れ、6歳の頃には既に常磐津を学び始めるなど、才能を早くから発揮していました。

二三吉は12歳の時に千葉県で半玉として舞台に立った後、大正4年（1915年）に日本橋葭町にて「二三吉」として正式に芸者としてデビューしました。彼女は常磐津三蔵から常磐津を学び、さまざまな音楽スタイルを吸収しました。大正14年（1924年）にはトーキョーレコードから数曲の流行小唄を初めて吹き込み、様々な場面で彼女の名が広まりました。

昭和3年（1928年）にはビクターの専属となり、うぐいす芸者歌手としての活動を本格化しました。特に、初ヒットとなった「浪花小唄」や、マキノ映画の主題歌「祇園小唄」などは多くのファンに支持されました。また、流行歌にとどまらず、新民謡（地方小唄）の分野でも多くの作品を残し、その幅広いジャンルの音楽活動が評価を得ました。

彼女は、流行歌と新民謡の両方においてヒット作を数多く輩出し、特に同じ曲の異なるアレンジを使った音源が多く存在しており、A面の洋風アレンジに対してB面は和風アレンジという風に、さまざまなスタイルを楽しむことができるようになっていました。これにより、彼女の名前は広まり続け、数多くの後輩たちに影響を与えています。

しかし、昭和7年（1932年）からは他の歌手が台頭してきたこともあり、ビクターとの契約に疑問を持ち、コロムビアレコードに移籍しました。この移籍後も、東京音頭や大阪音頭などの新民謡を吹き込み続け、地元での人気を持つ楽曲を多く制作しました。彼女の楽曲は、地域の人々に長く親しまれ、今でも多くの人々に愛されています。

40代に入った二三吉は、流行歌から少し離れ、端唄や舞踊小唄の領域に注力しました。特に、日舞・民舞踊の伴奏としての役割を持つ彼女の曲は、多くの人から高い評価を受けています。戦後も、レコードの吹き込みは減少したものの、彼女は江戸の伝統音楽を守り続け、その活動は多岐にわたりました。再発されたレコードが大ヒットを記録するなど、その存在感は衰えませんでした。

藤本二三吉は、1976年に79歳で亡くなるまで、多くの影響を与え続けました。彼女の業績に対して、昭和43年（1968年）には紫綬褒章、そして昭和50年（1975年）には勲四等瑞宝章を授与され、長年の芸能活動が高く評価されました。

彼女の家族も芸能界で活躍し、娘の藤本二三代や孫の藤本じゅりも歌手として知られています。このように、藤本二三吉の影響は三世代にわたって続いているのです。彼女の声は今もなお、そんな家族たちの音楽活動に引き継がれています。

代表曲

• - 新民謡『龍峡小唄』（昭和4年2月）
• - 新民謡『三朝小唄』（昭和4年4月）
• - 流行歌『浪花小唄』（昭和4年7月）
• - 流行歌『祇園小唄』（昭和5年1月）
• - 新民謡『大阪音頭』（昭和8年12月）

二三吉は、流行歌、民謡、端唄、舞踊小唄など、さまざまなジャンルで多くの名曲を残し、今日でも愛され続けています。彼女の業績は、日本の伝統音楽の重要な一部として、後世に語り継がれていくことでしょう。

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