藤本俊彦

藤本 俊彦（ふじもと としひこ）氏は、1971年（昭和46年）5月1日に徳島県徳島市で生まれた、日本の元プロ野球選手です。

プロ入り前は、地元の強豪校である徳島商業高等学校で野球に打ち込みました。高校卒業を控えた1989年のプロ野球ドラフト会議において、パシフィック・リーグに所属していたオリックス・ブレーブスから4位という順位で指名を受け、プロの世界へと進むことになりました。

1990年にオリックスに入団し、プロ野球選手としてのキャリアをスタートさせました。入団から現役引退までの全期間、「32」番の背番号を着用しました。登録名については、プロ入り当初の1990年から1993年までの4年間は本名の「藤本 俊彦」を使用していましたが、1994年シーズンからは「藤本 強士（ふじもと つよし）」へと変更しています。

プロ入り時は捕手として登録されたものの、二軍（ファーム）での実戦では外野手として出場する機会が多くを占めました。プロ野球の厳しい競争の中で、一軍の公式戦に出場できたのは、プロ2年目の1991年シーズン終盤のみでした。この年にわずか4試合に出場したに留まり、その後は再び一軍の舞台に立つことは叶わず、1995年シーズン限りで現役を引退することを決断しました。プロ野球選手としてのキャリアは、残念ながら6年間と比較的短いものとなりました。

1991年の一軍出場において、藤本氏のプロ野球選手としての記録がいくつか刻まれています。

初出場: 1991年9月29日、埼玉県所沢市の西武ライオンズ球場（現：ベルーナドーム）で行われた対西武ライオンズ戦（26回戦）で、9回裏に右翼手として守備に就き、プロ初出場を果たしました。
初先発出場・初安打・初打点: 初出場から間もない1991年10月1日、オリックスの本拠地であるグリーンスタジアム神戸（現：ほっともっとフィールド神戸）で開催された対福岡ダイエーホークス戦（26回戦）で同時に記録しました。この試合に「8番・左翼手」として初めて先発メンバーに名を連ね、対戦相手である福岡ダイエーホークスの投手、吉田豊彦氏からプロ初安打を放ち、その打席で初打点もマークしました。

プロ野球選手としてのキャリアを終えた藤本氏は、故郷である徳島県へと戻り、実家が営む造園業を継承しました。野球とは全く異なる分野へと転身し、アスリートから経営者、そして職人として、新たな道を歩み、地域の自然や景観に関わる仕事に尽力しています。

藤本家はまた、スポーツ一家としても広く知られています。妻である山内美加氏は、現役時代にバレーボール選手として活躍され、日本のVリーグなどでプレーした経験を持つ元アスリートです。

さらに、藤本氏の二人の娘さんもまた、日本のスポーツ界で注目される存在です。姉妹ともにバスケットボール選手として高い才能を示しており、若い頃から年代別の日本代表候補に選出されるなど、将来を嘱望されています。長女の藤本愛妃選手はWリーグ（女子日本バスケットボールリーグ）の富士通レッドウェーブに、次女の藤本愛瑚選手は同じくWリーグのENEOSサンフラワーズに所属しており、日本の女子バスケットボール界を牽引する強豪チームで中心選手として活躍しています。

プロ野球選手としての現役生活は短期間でしたが、藤本俊彦氏は引退後に家業である造園業を継ぎ、地域社会に貢献しています。加えて、家族である妻や娘たちが、それぞれバレーボールやバスケットボールといった異なるスポーツ分野で高いレベルで活躍しており、藤本家全体としてスポーツとの深い関わりを持ち続けています。プロアスリートとしての経験を生かしつつ、事業の担い手、そして家族を支える父親として、多角的な人生を歩んでいます。

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