藤本和宏

藤本 和宏について

藤本和宏（ふじもと かずひろ、1947年11月28日生まれ）は、山口県光市の出身で、元プロ野球選手として活躍した投手である。彼の野球人生は、ドラフト外から始まり、いくつかのチームを経て幕を閉じたものの、その間に印象深い記録を残した。

来歴と経歴

聖光高を卒業後、社会人野球の八幡製鐵光でプレーした藤本は、1966年に西鉄ライオンズにドラフト外で入団する。しかし、一軍での出場機会は限られており、1969年には勝ち星を挙げられないまま西鉄を自由契約となった。1970年には広島東洋カープに入団し、以降の選手としての運命が大きく変わることになる。

広島での初年度は成績が芳しくなかったが、1971年は大きな飛躍を遂げた。6月18日、大洋ホエールズ戦での完投により初勝利を収め、その後の中日ドラゴンズとの試合では自己初の完封試合を達成。さらに、8月19日にはノーヒットノーランという偉業を成し遂げ、一躍名を馳せた。この記録は、広島の歴史に残るものであり、彼にとって忘れられない瞬間であった。

藤本は1971年に10勝6敗、防御率は1.71という素晴らしい成績を残し、最優秀防御率のタイトルも獲得した。しかし、1972年のシーズンは身体が絞り切れず、早々に降板を余儀なくされ、勝ち星を上げることはできなかった。1973年以降は主に中継ぎとして起用され、1974年には登板機会が減少したため、同年限りで現役を引退することとなった。

ノーヒットノーランの詳細

藤本は1971年8月19日に中日戦でノーヒットノーランを達成した。試合は広島市民球場で行われ、藤本は27人目の打者である新宅洋志を打ち取ることで、この名誉ある記録を達成した。試合後、彼はベンチ裏の食堂で同僚たちと祝杯を上げたが、自由契約を経験した藤本は、実績の無さからこの偉業に対して実感を持てずにいた。このノーヒットノーランの日も、首脳陣からの信頼は高いものではなかった。

藤本は、この試合において初回から四球を与える等、緊張感の漂う展開もあったが、その後は速球を活かして投球を調整し、試合を優位に進めることに成功した。また、自身の成績に対して「日南キャンプの走り込みが今日の投球に役立った」と振り返り、成長の過程において自信を持てた瞬間についても語っている。

引退後

藤本の現役生活が終わった後は、消息不明となった。かつてのチームメイトである山本浩二は、藤本の名前が出ると少し戸惑う様子を見せており、何か隠された事情があったのかもしれないと想像させる。彼の投手生活には様々なドラマがあったが、輝かしい記録を手にした彼の姿は、多くのファンの記憶に残っている。

結論

藤本和宏は、一時代を築いたプロ野球選手であり、そのキャリアにはいくつもの波乱があった。特にノーヒットノーランの達成は、彼にとってだけでなく、広島東洋カープの歴史においても重要な瞬間であった。彼のプレーは、多くのファンに希望と興奮を与えた逸話であり、今なお語り継がれる存在である。

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