藤村明世

藤村 明世

藤村 明世（ふじむら あきよ）は、1990年に東京都で生を受けた日本の映画監督です。そのキャリアは、幼少期からの映画への強い愛着に根差しています。

来歴と映画への道のり

映画愛好家であった父親の影響を受け、ごく幼い頃から映画に親しんだ藤村は、小学生の頃には、銀幕での活躍を夢見て女優を志し、児童劇団で演技を学びました。しかし、中学生時代に実際の映画制作の現場に触れる機会があり、そこで出会った俳優・沢尻エリカ氏との間に感じた表現者としての隔たりから、女優の道を断念することとなります。この経験が、彼女に映画との関わり方を裏方として捉え直すきっかけを与えました。

通っていた児童劇団の女性演出家への憧れも、新たな道への一助となりました。さらに、この中学時代に岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』（2001年）や熊澤尚人監督の『虹の女神』（2006年）といった作品から強い感銘を受け、自ら物語を紡ぐ映画監督という道を具体的に目指し始めます。

明治学院大学文学部芸術学科に進学し、映画学を深く学んだ藤村は、大学での学習に加え、実践的な映画制作技術を習得するため、映画学校であるニューシネマワークショップにも並行して通いました。在学中に監督した二作目の短編映画『彼は月へ行った』（2014年）は、第36回ぴあフィルムフェスティバルをはじめ、仙台短篇映画祭2014、第6回下北沢映画祭などで相次いで入選を果たし、その才能が高く評価される契機となりました。

大学卒業後はフリーランスとして活動を開始し、大手映画会社の商業映画（東宝系）二作品で助監督や制作部を務めたほか、インディーズ映画やCM制作にも携わり、現場での経験を積みました。これらの経験を経て、再び自身の監督作品を手がける道へと進みます。

四作目の監督作品であり、初の長編映画となった『見栄を張る』（2016年）は、シネアスト・オーガニゼーション大阪（CO2）の助成を受けて制作されました。この作品は、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016の長編コンペティション部門において、SKIPシティアワードを受賞するという栄誉に輝き、監督としての地位を確固たるものとしました。

2018年には、映画監督・是枝裕和氏が製作総指揮を務めたオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』に監督の一人として参加。その一編である「その空気は見えない」を手がけ、次世代を担うフィルムメーカーとしてさらに注目を集めました。

監督作品

短編
『彼は月へ行った』（2014年）

長編
『見栄を張る』（2016年）
『十年 Ten Years Japan』より「その空気は見えない」（2018年）

その他の関与作品

『図書館戦争-THE LAST MISSION-』（2015年、佐藤信介監督）- 助監督
『バクマン。』（2015年、大根仁監督）- 制作部
『神宿スワン』（2016年、中山剛平監督）- 助監督

出演

* 『問題のない私たち』（2004年、森岡利行監督）- エキストラ

これらの活動を通じ、藤村明世は日本の映画界において、独自の視点を持つ監督としてその存在感を示しています。

もう一度検索