藤枝晃

藤枝 晃（ふじえだ あきら）は、1911年8月3日に大阪府西成郡粉浜村（現在の大阪市住之江区）に生まれた、日本を代表する東洋学者です。彼の専門分野は敦煌学および西域出土の古写本研究であり、この分野の第一人者として広く認識されています。

藤枝は、旧制大阪高校を経て1934年に京都帝国大学文学部史学科を卒業しました。卒業後、彼は同大学の副手として学問の道を歩み始めます。1937年からは東方文化研究所に勤務し、図書係および副研究員としての経験を積みました。太平洋戦争末期には中国の内蒙古に派遣され、西北研究所で現地調査に従事しました。これにより、藤枝は国際的な視野を持つ研究者として育っていきました。

戦後、1948年には京都大学人文科学研究所助教授に就任し、1951年には居延漢簡共同研究班に参加しました。この班の中では米田賢次郎や大庭脩などとともに木簡の研究を進め、多くの成果をあげました。1962年には文学博士の学位を取得し、1968年には人文科学研究所の教授に昇進。その後、1970年にはデンマークのコペンハーゲン大学で新設された中国文化講座の客員教授を務めるなど、国際的にも活躍しました。1975年に京都大学を定年退官した後も、名誉教授として研究を続け、1988年にはカリフォルニア大学バークレー校の客員教授に就任しました。

藤枝の研究業績は多岐にわたり、西域や敦煌に関する知見を深めることに重点が置かれていました。1981年、中国の南開大学で敦煌学を教えた際には、大学関係者から「敦煌は中国にあるが、敦煌学は国外にあった」と称賛されたエピソードもあります。このように、藤枝の研究は国内外で大きな評価を受けました。

彼の業績による受賞や栄典も多く、1959年には居庸関に関する共同研究で日本学士院賞を受賞しました。1972年にはフランス学士院からジュリアン賞、1975年にはフランス政府から教育学術功労賞オフィシェ級勲章が授与されました。さらに、1982年には勲三等旭日中綬章も受章しています。

藤枝晃の著作は、彼の研究活動の成果を示す重要な資料となっています。主な著書には、共著である『居庸関』や『日本思想大系2 聖徳太子集』、さらには新装版の『原典日本仏教の思想』などがあります。彼はまた、様々な学術書や研究報告にも寄稿しており、その影響は今なお続いています。藤枝の学問に対する熱意と探求心は、今後の東洋学の発展にも大きく貢献し続けることでしょう。

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