藤田精一

藤田精一

藤田精一（ふじた せいいち、1868年（慶応4年） - 1938年（昭和13年）7月5日）は、日本の歴史学者であり、号は南山。

経歴

藤田精一は、1868年に山城国綴喜郡田辺村興戸（現在の京都府京田辺市）に生まれました。1894年に帝国大学文科大学史学科を卒業後、1898年には陸軍教授に就任。その後、広島中学校（現・広島県立広島国泰寺高等学校）の校長、大阪陸軍幼年学校教頭、広島陸軍幼年学校教頭を歴任しました。

1938年には、「新田氏研究」により東京帝国大学から文学博士号を授与されました。妻は戸水寛人の妹であり、長男の藤田春太郎（法学士）と次男の藤田二郎（農学士）は、1926年頃に相次いで亡くなっています。五男は日本史学者の藤田五郎です。

研究内容と著作

藤田精一は、南北朝時代の歴史、特に楠木氏と新田氏の研究に情熱を注ぎました。彼の研究は、単なる歴史的事実の羅列にとどまらず、武士道や道徳といった精神的な側面にも光を当てています。

主な著書としては、以下のようなものがあります。

『楠氏研究』（1915年、積善館、1933年）
『大日本軍艦写真帖』（編、1924年、海上協会）
『忠不忠 南朝史話』（1926年、京文社）
『大楠公』（1934年、大阪宝文館）
『日本名分汚涜論 日欧米史説』（1934年、楽園書房）
『楠氏研究』（増訂四、1938年、積善館）
『楠氏後裔楠正具精説』（1938年、湊川神社）
『新田氏研究』（1938年、雄山閣）
『史話大楠公の精神』（1939年、積喜館）
『武家道徳史論 吉野時代を中心として』（1941年、四海書房）
* 『楠氏余論』（1942年、蛍雪書院）

また、翻訳書としてドナート著『近世欧人の観たる謎の日本』（1928年、広陵社）があります。

藤田精一の研究は、当時の歴史学界において重要な位置を占めており、特に楠木氏研究においては、今日でも参照されるべき貴重な文献となっています。彼の著作は、歴史学の研究者だけでなく、日本の精神文化に関心を持つ人々にとっても貴重な資料と言えるでしょう。

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