蘇原荘

蘇原荘（そはらしょう）

蘇原荘は、平安時代中期に成立し、安土桃山時代にかけて美濃国加茂郡の東部に存在した荘園です。現在の岐阜県恵那市の一部と加茂郡の一部に相当します。この地域は、中世の荘園制度下で独自の歴史を歩みました。

歴史

蘇原荘は、遅くても建武年間（1334年 - 1336年）には成立していたと考えられています。建武年間以降、廃藩置県に至るまで、この地は苗木遠山氏によって支配され続けました。江戸幕府成立後も、明治時代に岐阜県が成立するまで、苗木藩の領地としてその歴史を刻んでいます。

建武2年（1335年）には、中野方村に存在した心観寺の梵鐘に「建武二乙亥年二月大檀那領主加藤左衛門尉景村、美濃國蘇原荘安弘見郷中之方氏子安全」という銘文があったと伝えられています（安弘見傳記）。この梵鐘は、元弘年間に北条氏の残党によって心観寺が焼失した後に再建された際に鋳造されたものと考えられます。この銘文から、当時の蘇原荘の様子や、地域の人々の信仰心を知ることができます。

範囲

蘇原荘の範囲は、現在の岐阜県恵那市の中野方町、笠置町毛呂窪、笠置町河合、笠置町姫栗、飯地、中津川市蛭川の和田川以西、そして加茂郡八百津町の潮見、福地、峯、下立（下立は丸山ダムの湖底に水没）、白川町の上田、黒川、犬地、赤河、切井に及びます。

特に、中野方町、笠置町毛呂窪、笠置町河合、笠置町姫栗、中津川市蛭川の地域は「安弘見郷（あびろみごう）」と称され、蘇原荘の中心的な地域であったと考えられます。

安弘見郷

安弘見郷は、以下の五箇村から構成されていました。

中野方町
笠置町毛呂窪
笠置町河合
笠置町姫栗
中津川市蛭川


これらの地域は、蘇原荘の中でも特に重要な位置を占めていました。

蘇原神社

現在、岐阜県恵那市笠置町毛呂窪字中田493番地に蘇原神社が鎮座しています。この神社は、蘇原荘の歴史と深く関わっていると考えられます。

起源

蘇原荘の起源は、平安時代中期に遡ると推測されています。この時代に荘園制度が確立し、地方の豪族や寺社が土地を所有・支配するようになりました。蘇原荘もその一つとして成立したと考えられます。

参考文献

『蛭川村史』 遠山荘と蘇原荘　p149～p154
『生きている村 : 中野方町史』　中野方町史刊行委員会　蘇原庄と安弘見郷　p80～p84 1968年
『中津川市史　上巻』 第四編　中世　第二章　鎌倉時代　恵那郡内の荘園　(二)郡内他荘　p524～p525　1968年

これらの文献は、蘇原荘の研究において重要な資料となっています。

関連項目

蘇原村：蘇原荘とは別の行政区分です。
日本の荘園の一覧：日本の荘園制度全体の理解を深める上で参考になります。
遠山荘：蘇原荘と同じく遠山氏が支配した荘園です。
遠山氏：蘇原荘を支配した武士団です。
苗木遠山氏：遠山氏の一族で、蘇原荘を長く支配しました。
安弘見神社：蘇原荘内の安弘見郷に存在する神社です。

これらの関連項目を参照することで、蘇原荘に関する理解を深めることができます。

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