蘭坡景茝

蘭坡景茝（らんぱけいし）は、応永26年（1417年）に生まれ、明応10年2月28日（1501年3月17日）に没した、室町時代中期から戦国時代にかけての臨済宗の僧侶です。別号として雪樵（せっしょう）を名乗りました。近江国（現在の滋賀県）の出身です。

景茝は若い頃に南禅寺に入り、大模梵軌（だいもぼんき）に師事しました。大模梵軌からその法を継承し、禅の道を究めました。また、希世霊彦（きせいれいげん）や瑞巌龍惺（ずいがんりゅうせい）といった当時の著名な学者から漢詩文を学び、その才能を開花させました。これらの師との出会いは、景茝の思想や学問に大きな影響を与えたと考えられます。

文明7年（1475年）には、臨川寺（りんせんじ）の住持となりました。その後、相国寺（しょうこくじ）、等持院（とうじいん）、常在光寺（じょうざいこうじ）など、名だたる寺院の住持を歴任し、その指導力と学識をもって寺院の発展に貢献しました。特に南禅寺においては、仙館軒（せんかんけん、のちに仙館院）を創建し、禅の普及と文化の発展に尽力しました。

景茝は、後土御門天皇（ごつちみかどてんのう）からも厚い信任を受けました。天皇に漢詩などを進講する機会を得て、その学識の深さを披露しました。天皇との交流は、景茝の社会的地位を高め、文化人としての名声を確立する上で重要な役割を果たしました。

蘭坡景茝は、禅僧としてだけでなく、漢詩文にも優れた才能を発揮し、多くの文化人に影響を与えました。その足跡は、室町時代の文化史を語る上で欠かせないものとなっています。彼の残した功績は、今日においても高く評価されており、禅宗の歴史に名を刻む人物として記憶されています。

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