虫明亜呂無

虫明亜呂無について

虫明亜呂無（むしあけ あろむ、1923年9月11日 - 1991年6月15日）は、日本の著名な作家、評論家であり、随筆家や翻訳家としても知られています。彼の作品は文学だけにとどまらず、映画やスポーツ、競馬にまで及び、その多彩な活動は多くの読者に影響を与えてきました。

生い立ちと教育

虫明は東京府東京市本郷区（現東京都文京区）の湯島に生まれました。彼の父は、著名な画家の萬鉄五郎に師事した虫明柏太でした。旧制開成中学校を卒業後、1947年には旧制早稲田大学文学部の仏文学科を修了しました。学業に励む一方で、戦時中は立川陸軍航空整備学校に招集され、著書でも触れられている通り、上官に頻繁に殴打されるという辛い経験もしました。

文学活動の始まり

早稲田大学在学中に、その後の人生にも大きな影響を与える文芸批評の世界に身を投じました。卒業後は早稲田大学文学部の副手を経験した後、雑誌『映画評論』の編集部に入ります。その中で、ドナルド・リチーの映画評論の翻訳を手がけるなど、翻訳家としてのキャリアもスタートさせました。

1959年には、加太こうじ、森秀人、鶴見俊輔、佐藤忠男、邑井操とともに「大衆芸術研究会」を立ち上げ、ここでの活動を通じて新たな視点を広めました。その後、文芸批評、映画評価、スポーツ評論、さらには競馬に関するエッセイなど、彼の独自の美的センスと広範な知識を活かして多岐にわたる作品を創作しました。

映画と競馬

特に映画界においては、記録映画『札幌オリンピック』の脚本を手掛けたほか、1979年には小説『シャガールの馬』で直木賞に候補に挙がるなど、文学と映画の両面で高く評価されました。彼の評論はただの批評に留まらず、作品への深い洞察に基づいており、多くの読者を魅了しました。また、スポーツや競馬に関する著作も多く、特に『わたしの競馬教室』などは広く読まれ、その魅力を引き出しました。

最後の年々

1983年に脳梗塞により倒れた後は、長い闘病生活を余儀なくされることとなりましたが、それでも創作活動を続けました。1991年、彼は67歳で肺炎によりこの世を去ります。彼の本名である「虫明亜呂無」は、地名やフランス語の「アロム」に由来し、彼の作品に対するアプローチを象徴するものとも言えるでしょう。

主な著書と訳書

虫明亜呂無の著作には、以下のような作品があります。『スポーツへの誘惑』『愛されるのはなぜか』『シャガールの馬』など、独特の視点から描かれた数々の作品があり、日本の文学界に多大な影響を与えました。また、彼は翻訳家としても活躍しており、ドナルド・リチーの『映画芸術の革命』なども手掛けています。

虫明亜呂無の作品群は、彼の独特な文体と豊かな知識を活かしたものであり、今もなお多くの人々に読み継がれています。

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