蛇籠

蛇籠（じゃかご）の概要と機能

蛇籠は、竹や鉄線で構成された長い籠に砕石や自然石を詰めて、河川や斜面の護岸補強に使用する伝統的な構造物です。日本では「蛇籠」と呼ばれ、石籠（せきろう）とも称されるこの道具は、英語では「gabion」と表現されます。

名称の由来

「蛇籠」という名称は、完成した形状が蛇に似ていることから名付けられたと考えられています。古くから河川には蛇の伝説が語られ、これに由来する説もあります。また、日本語の「籠」と「篭」の主な違いは、前者が正字で後者が俗字という点です。国際的には、蛇籠に近い語としてフランス語では「gabion」、ドイツ語では「Gabione」が使用されています。

蛇籠の歴史

蛇籠の使用は江戸時代にまで遡り、当時は竹で作られた円筒形の籠が主に見られました。歴史的な文献や絵画からは、河川の護岸に蛇籠が用いられていたことが明らかになっています。近年、竹製の蛇籠は劣化しやすいため、めっき鉄線へと材料が変更され、形状や工法も多様化しています。

用途と機能

蛇籠は、河川や海岸の土木工事、治山などの分野で様々な目的に使用されます。護岸や根固め、水制、床止め、耐震、擁壁、排水といった多くの役割を果たし、近年では生態系の保護や緑化にも寄与しています。特に、「二重ふとん籠」と呼ばれる種は、自然環境の保全を促進するため、内側に植生シートを張った構造をしています。

蛇籠の種類

主に円筒形、角形、異形の三つのタイプがあります。円筒形は柔軟性に優れ、角形は簡易構造で大量生産が可能です。異形蛇籠は、形状が多様化しており、ケースの目的に応じて選ばれます。

構造と組み立て方

蛇籠は、基本的に金網と枠線から構成され、金網は鉄線で編まれた菱形のものが用いられます。円筒形のものは胴網と蓋、丸輪などからなり、角形のものは中枠を使用します。一部は工場で組み立てられ、簡単に現場で展開できるタイプもあります。

問題と対策

蛇籠の設置にあたっては、中詰め材の流出や金網の劣化といった問題が生じることもあります。しかし、定期的な点検や技術の進歩により、耐久性や安全性が向上してきています。最新の構造計算や安定計算に基づき、強度を高める工夫が施されています。

結論

蛇籠は、河川や山間部の土木工事において重要な役割を果たしており、環境への影響を考慮した材料の選定や新たな技術が進展しています。これにより、持続可能な社会の実現に向けた一環として、多様な環境に適した工法が求められています。

もう一度検索