蜀漢の滅亡

蜀漢の滅亡

蜀漢の滅亡は、三国時代の終盤、魏が鄧艾と鍾会を派遣して蜀漢を滅ぼした戦いを指します。

前史

蜀漢は、丞相・諸葛亮が234年に死去した後、徐々に国力を衰退させていました。姜維による度重なる北伐や、256年の段谷の戦いでの大敗がそれに拍車をかけました。さらに、258年以降には宦官の黄皓が政治の実権を握り、蜀漢の政治は大きく乱れました。

漢中の防衛体制も変更されました。従来は複数の陣営を配置して守る魏延の「重門之計」でしたが、姜維は兵力を漢・楽の二城に集中させ、敵を疲弊させてから追撃するという戦略に転換しました。

魏は一貫して蜀漢を滅ぼす方針を掲げ、征西府に征蜀護軍や征蜀将軍などの役職を設け、機会を窺っていました。司馬昭は、蜀漢の国力衰退を好機と捉え、鍾会とともに蜀漢討伐の計画を練りました。また、呉への牽制を装い、密かに船を大量に建造しました。

経過

263年夏、司馬昭の命令により、魏は蜀漢討伐を開始しました。鄧艾は3万余の兵を率いて姜維を攻撃し、諸葛緒も3万余の兵で姜維を挟撃しました。鍾会は10万余の大軍を率いて漢中へ侵攻しました。

姜維は魏の侵攻を察知し、劉禅に援軍を要請しましたが、黄皓が占いを信じて進言したため、援軍の派遣は遅れました。姜維は鄧艾軍の追撃を受け、趙広らが戦死。さらに、諸葛緒に退路を塞がれかけましたが、巧みな退避行動で回避に成功しました。

鍾会は漢城と楽城を攻略できず、剣閣へと進軍。鄧艾は剣閣を迂回する奇襲作戦を提案し、自ら陰平から険阻な山地を越え、江油を制圧しました。諸葛瞻は涪に駐屯していましたが、黄崇の進言を聞き入れず、綿竹まで後退。江油を失うという失態を犯しました。

呉も蜀漢からの救援要請に応じ、魏を牽制するために軍を派遣しましたが、効果は限定的でした。鄧艾は綿竹にいる諸葛瞻を攻撃し、これを討ち取りました。11月、諸葛瞻の討死を知った劉禅は、譙周の勧めに従い、鄧艾に降伏。ここに蜀漢は滅亡しました。剣閣を守備していた姜維も、劉禅の命令を受け鍾会に降伏しました。

鍾会の乱

蜀漢を降伏させた鄧艾は、旧蜀漢領の統治を独断で行ったため、兵権を剥奪され逮捕されました。鍾会は姜維と共謀して魏に反逆し、一部の将軍らを幽閉しました。しかし、胡烈の息子らが鍾会と姜維を討ち、乱は鎮圧されました。この混乱で成都は甚大な被害を受け、多くの将兵が命を落としました。

永安攻防戦

呉は蜀漢滅亡後、羅憲が守る永安城を攻撃しましたが、羅憲は魏への忠義を貫き、城を堅守しました。呉は陸抗らに永安城を包囲させましたが、魏の援軍により撤退を余儀なくされました。

その後

蜀漢の滅亡後、旧蜀漢領の一部に梁州が設置されました。劉禅は洛陽に移り、安楽県公に封じられました。また、かつて涼州で反乱を起こした白虎文らが蜀漢に迎え入れられましたが、蜀漢滅亡後は白虎文が胡烈らを殺害する事件も発生しました。

もう一度検索