涼州

涼州（りょうしゅう）

涼州は、かつて中国に存在した州で、現在の甘粛省と寧夏回族自治区の一部に相当します。現在では甘粛省の別称として用いられています。

歴史

漢代

紀元前106年、漢の武帝が全国を13州に分割した際に涼州が設置されました。当初は、隴西、武都、金城、安定など10の郡国を管轄していました。前[[漢]]末期には、隗囂がこの地で割拠しましたが、後に鎮圧されました。後[[漢]]時代には隴県が州治となり、194年には州の西部が分割され、新たに雍州が設置されました。

魏晋南北朝時代

三国時代には、魏によって州治が姑臧県に移されました。魏の時代の涼州刺史は、戊己校尉を兼任し、その管轄範囲は西域にまで及ぶ広大なものでした。西晋末期の永嘉年間以降、八王の乱の中で、涼州刺史の張軌が自立し、前涼を建てました。この時代、涼州は西域諸勢力の拠点となり、前涼の後も、後涼、南涼、北涼、西涼などがこの地を拠点としました。北魏が成立すると、涼州はその地理的理由から一時的に敦煌鎮に降格されましたが、490年に再び州として設置されました。西魏時代には、州の西部に西涼州が設置されるなど、細分化が進みました。北周時代には、西域への要地として涼州総管府が設置されました。

北周時代の管轄郡

武威郡
番和郡
広武郡
泉城郡

隋代

隋代初期に設置された涼州は、3郡8県を管轄していましたが、607年に郡制が施行されたことに伴い、武威郡と改称され、下部に4県を管轄しました。

唐代

唐代になると、武威郡が再び涼州と改称されました。唐代においては、吐蕃との間で発生した戦闘の最前線となり、唐と吐蕃による統治が交互に繰り返されました。

宋代

1028年、李徳明が涼州を陥落させ、宋代の行政権が及ぶようになると、西涼府と改称されました。景徳年間には、西夏の勢力下に置かれることとなりました。

元代

元代初期は西涼府とされていましたが、1278年に永昌路が設置されると、西涼府は西涼州に降格し、その管轄となりました。

元代の管轄県

搠羅県
河羅県

明清代

明代が成立すると、洪武年間に涼州衛とされ、清代の1724年に涼州府と改編されました。中華民国が成立すると、府制が廃止され、涼州という行政区画名称は消滅しました。

涼州詞

涼州を舞台にした「涼州詞」は数多く作られていますが、中でも有名なのが唐の王翰による七言絶句です。

この詩は、異国情緒あふれる情景を描写しています。起句では、西域から伝わった「葡萄美酒」、すなわちワインや「夜光杯」といったエキゾチックな小道具が登場します。涼州は古来、天山山脈を越えてヨーロッパへ通ずる東西交通の要所（河西回廊）であったため、珍しいものが伝わっていました。同時に国境防衛の要地でもあり、異民族との戦場になることも多かったため、詩には戦に向かう厳しさと不安が込められています。

脚注

関連項目

漢代の地方制度
敦煌
玉門関
西域
シルクロード
河西回廊
* 祁連山脈

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