蜀郡

蜀郡：古代中国の郡、その歴史と変遷

蜀郡は、紀元前285年から唐代にかけて存在した中国の郡であり、現在の四川省成都市を中心とした地域に位置していました。本記事では、蜀郡の成立から変遷、そしてその終焉までを詳細に解説します。

蜀郡の成立

蜀郡は、紀元前285年（秦の昭襄王22年）に、蜀侯綰が反乱を疑われて処刑された後に設置されました。郡治は成都に置かれ、この地が蜀郡の中心地としての役割を担うことになります。

前漢時代の蜀郡

前漢時代、蜀郡は益州に属し、以下の15県を管轄していました。

成都
郫
繁
広都
臨邛
青衣
江原
厳道
綿虒
旄牛
徙
湔氐道
汶江
広柔
蚕陵

前漢末期の戸数は26万8279戸、人口は124万5929人に達し、蜀郡が当時としては非常に大きな規模であったことが伺えます。

後漢時代の蜀郡

後漢時代になると、蜀郡は管轄する県の数が減少し、以下の11県を管轄するようになりました。

成都
郫
繁
広都
臨邛
江原
綿虒
湔氐道
汶江
広柔
蚕陵

西晋から南朝にかけての蜀郡

西晋の太康年間には、蜀郡は成都国と改称されましたが、後に再び蜀郡に戻されました。この時期の蜀郡は、以下の6県を管轄していました。

成都
広都
繁
江原
臨邛
郫

南朝宋および南朝斉の時代には、蜀郡は以下の5県を管轄していました。

成都
郫
牛鞞
繁
永昌

隋代の蜀郡

582年（開皇2年）には、隋により西南道行台省が置かれ、翌年には総管府が設置されました。605年（大業元年）に総管府は廃止され、蜀郡は以下の13県を管轄するようになりました。

成都
双流
新津
晋原
清城
九隴
綿竹
郫
玄武
雒
陽安
平泉
金淵

唐代、そして蜀郡の終焉

618年（武徳元年）、唐により蜀郡は益州と改められ、総管府が置かれました。742年（天宝元年）には、益州は再び蜀郡と改称されましたが、757年（至徳2載）には成都府と改められ、蜀郡の呼称は歴史から姿を消しました。

蜀郡は、その成立から終焉まで、政治、経済、文化の中心地として重要な役割を果たしました。その変遷は、中国の歴史を理解する上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。

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