蜂須賀健太郎

蜂須賀健太郎（はちすか けんたろう）氏は、1965年6月17日に生まれた日本の映画監督で、日本映画監督協会の会員です。和光大学を卒業しており、幼い頃から8mmフィルムを用いた自主映画制作に強い関心を持ち、自ら映像作品を作り始めました。

学生時代には、その才能が早くも認められました。1982年に制作した短編映画『A GIRL』は、松竹映画が主催した8ミリフォトコンテストで優秀賞を獲得し、若き才能として注目を集めました。

商業映像の世界へは、1988年に足を踏み入れました。大学4年次に、演歌歌手である樹映子のビデオクリップ『そばにいて』の演出を担当したことが、彼の商業監督としてのキャリアの出発点となります。

初めて劇場用長編映画のメガホンをとったのは1993年です。『黄昏のアインシュタイン』と題されたこの作品は、翌1994年にかけて日本各地でロードショー公開されました。この作品は、イギリスの著名な映画評論家トニー・レインズ氏をはじめとする批評家から高い評価を受け、国際的な注目を集めることになります。ヴァンクーバー国際映画祭では、将来が期待されるアジアの新人監督に贈られるドラゴン＆タイガーズアワードの候補作の一つにノミネートされ、またサンフランシスコ・アジアアメリカ国際映画祭など、海外の主要な映画祭でも正式に上映されました。このデビュー作は、蜂須賀監督の名前を国内外に知らしめる重要な一歩となりました。

1998年には、人気漫画家・須藤真澄氏の原作を基にした劇場用映画第2作『アクアリウム』を手掛けました。この作品も、福岡アジア映画祭のコンペティション部門に選出されるなど、再び評価を獲得しました。

蜂須賀監督の活動範囲は劇場映画だけに留まりません。アニメーション分野にも積極的に挑戦しており、2008年には絵本作家仁科幸子氏の原作に基づくパペット・アニメーション『パップンピット』を、翌2009年には、独創的な手作りアニメーション『ピンクのブルドッグ』の監督を務めました。さらに、地域やキャラクターをテーマにした実写映像も制作しており、2010年には山梨県韮崎市のマスコットキャラクター『ニーラ』の映像を、2012年にはフィンランド、ロヴァニエミに位置する『サンタクロース』を被写体とした作品を手掛けています。

特に注目されるのは、2013年に実現した日本とフィンランドによる共同制作のファンタジー映画『サンタクロースがやってきた』です。この国際的なプロジェクトにおいて、彼は監督として、両国の文化を融合させたユニークな作品を生み出しました。また、2015年には、耽美な世界観で知られる人形作家、清水真理氏の球体関節人形を用いたストップモーションアニメ映画『Alice in Dreamland アリス・イン・ドリームランド』を手掛けるなど、多様な表現手法への飽くなき探求心を示しています。

このように、蜂須賀健太郎監督は、劇場用フィクション映画から、アニメーション、実写ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、デジタルコンテンツに至るまで、極めて幅広いジャンルで映像作品を制作し続けています。幼少からの自主制作を経て、国際的な評価を獲得し、多様な表現形式へと挑戦を続けるそのキャリアは、日本の映像界において独自の存在感を示しています。

主な監督作品

劇場用映画

『黄昏のアインシュタイン』（1993年）
『アクアリウム』（1998年）
『サンタクロースがやってきた』（2013年）
『Alice in Dreamland アリス・イン・ドリームランド』（2015年）
『クロノス・ジョウンターの伝説』（2019年）
『あの庭の扉をあけたとき』（2022年公開）

アニメーション

『パップンピット』（2008年）
『ピンクのブルドッグ』（2009年）

ミュージックビデオ

樹映子「そばにいて」（ポリドール）
ミッキー・カーチス「Legend1954-1994　スタンド・バイ・ミー」（BMGビクター）
冠二郎「太陽に叫ぼう」（日本コロムビア）
ゴダイゴ「GATEWAY TO THE DRAGON 〜NEW BEAT〜」（日本コロムビア）
城之内ミサ「ASIAN WIND」（パシフィックムーン）
松山千春「君に」（日本コロムビア）

デジタルコンテンツ

PooL「Bye Bye ダーリン」（日本コロムビア）
奥菜恵「STAIRS」（日本コロムビア）
冠二郎「冠Revolution」（日本コロムビア）
MALICE MIZER|MALICE_MIZER「Le ciel」（日本コロムビア）
PRECOCI「BOX1」（日本コロムビア）
須藤温子「耳をすまして」（ヒートウェーブ)

アイドルDVD

* Ace File「日本真白化計画」（東芝デジタルフロンティア）

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