蜂須賀斉昌

蜂須賀斉昌：阿波徳島藩、苦難の藩政改革

蜂須賀斉昌は、江戸時代後期の阿波国徳島藩12代藩主です。寛政7年（1795年）に11代藩主・蜂須賀治昭の次男として生まれ、初めは昭昌と名乗りました。文化6年（1809年）には、第11代将軍・徳川家斉より偏諱を賜り、斉昌に改名しています。

文化10年（1813年）に父の隠居により家督を継ぎましたが、当時の徳島藩は財政難に苦しんでいました。幕府からは甲斐国の河川築堤という負担が課せられ、4万5000両もの費用を拠出する必要が生じました。これは領民に重い負担を強いることとなり、藩政改革は喫緊の課題でした。

しかし、斉昌の藩政は困難を極めます。文政10年（1827年）には、将軍家斉の実子である斉裕を養嗣子に迎えます。斉裕が順調に出世したことで、斉昌は養父としての立場がないと訴え、異例の正四位上に叙任されます。しかし、その裏で老中・水野忠邦に賄賂を贈ったという噂が広まり、民衆の不信感を招きました。

財政再建のため、斉昌は徳島藩の特産品であった煙草の専売を強化し、「煙草御口銀」という新たな税を課しました。この政策は領民の反発を買い、天保12年（1842年）には600人近い領民が伊予国今治藩へ逃散、翌年には大規模な一揆（山城谷一揆）が発生しました。一揆の首謀者を処罰できないほど、領民の怒りは頂点に達していました。

天保14年（1843年）に斉裕へ家督を譲り、安政6年（1859年）に65歳で生涯を終えました。法号は峻陵院殿、墓所は徳島県徳島市の万年山にあります。

系譜

父：蜂須賀治昭
母：辻備
正室：穠姫（井伊直中の長女）
継室：鷹司并子（鷹司政煕の娘）
養子：蜂須賀斉裕（徳川家斉の二十二男）
養女：蜂須賀量子（藤堂高潔正室）

斉昌は、苦境の中で藩政改革に挑みましたが、領民の支持を得られず、藩の立て直しはかないませんでした。その治世は、徳島藩にとって試練の時代であったと言えるでしょう。

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