血と砂 (1922年の映画)

血と砂 (1922年の映画)

『血と砂』（Blood and Sand）は、1922年にパラマウント映画が製作したアメリカのサイレント恋愛映画です。フレッド・ニブロが監督を務め、ルドルフ・ヴァレンティノ、ライラ・リー、ニタ・ナルディが主演しました。原作は、スペインの作家ビセンテ・ブラスコ・イバニェスが1908年に発表した同名小説であり、トーマス・カッシングによる舞台化作品も基にしています。

あらすじ

貧しい村で育った少年ファン・ガラルドは、成長してスペインで最も有名な闘牛士の一人になります。彼は幼馴染のカルメンと結婚しますが、名声と富を手に入れた後、裕福で魅力的な未亡人ドナ・ソールに惹かれていきます。

二人は激しい恋に落ちますが、カルメンを裏切った罪悪感に苛まれたファンは、ドナ・ソールを避けるようになります。拒絶されたドナ・ソールは激怒し、ファンを追いかけます。彼女は故障を装ってファンの別荘を訪れ、そこでファンと親交のある盗賊と出会い、共に食事をします。翌朝、ドナ・ソールはカルメンとファンの母親に二人の関係を暴露し、ファンの結婚生活は危機に瀕します。

絶望したファンは、闘技場でも集中力を欠き、友人となった盗賊が警察に射殺されるのを目撃して動揺し、ついに闘牛に刺されてしまいます。死の間際、彼はカルメンと和解するのでした。

キャスト

ファン・ガラルド（人気闘牛士）：ルドルフ・ヴァレンティノ
カルメン（ファンの妻）：ライラ・リー
ドナ・ソール（裕福な未亡人、ファンの愛人）：ニタ・ナルディ
ドン・ホセリート（物語の進行役）：チャールズ・ベルチャー
ドン・ホセ（ファンの裕福なパトロン）：フレッド・ベッカー
エル・ナシオナル（友人の闘牛士）：ジョージ・フィールド
ポタジェ（人気の槍士）：ジャック・ウィン
プルミタス（賞金が掛かった盗賊）：ウォルター・ロング
アントニオ（馬具屋）：レオ・ホワイト
エンカルナシオン（ファンの姉）：ロジータ・マルスティニ
モライマ侯爵（優秀な牛のブリーダー）：ジョージ・ペリオラ
アングスティアス・ガラルド（ファンの母）：ローザ・ロザノヴァ
プンティジェロ：ハリー・ラモント
ガラバト（ファンの助手）：ギルバート・クレイトン
* ルイス博士（闘牛場の外科医）：シドニー・デ・グレイ

製作の背景

ルドルフ・ヴァレンティノは、映画『黙示録の四騎士』(1921)で一躍スターダムにのし上がりました。その後、いくつかの映画に出演しましたが、所属していたメトロとの関係が悪化し、パラマウント映画に移籍しました。そして映画『シーク (映画)』で再び大きな成功を収めます。しかし、その後の役柄に不満を感じたヴァレンティノは、『黙示録の四騎士』と同じ作家であるビセンテ・ブラスコ・イバニェスの小説『血と砂』の映画化をパラマウントに提案し、製作が決定しました。


この映画は、ヴァレンティノの情熱的な演技と、スペインの情熱的な雰囲気を色濃く反映した作品として、高く評価されています。

もう一度検索