血の4月

血の4月（Bloody April）

血の4月とは、第一次世界大戦中におけるイギリス陸軍航空隊（RFC）が直面した深刻な空の戦いを指す時期を表します。特に1917年4月は、RFCがドイツ帝国軍航空隊（Luftstreitkräfte）から厳しい損害を受けたことで知られています。この戦闘では、RFCの受けた損害は、ドイツ軍に与えた損害の三倍にも及ぶという惨状がありました。それにもかかわらず、RFCはその基本任務である地上軍の支援を続けました。

背景

1917年の4月、連合軍はニヴェル攻勢と呼ばれる一連の攻撃を計画し、イギリス軍は北フランスのアルトワ地方にあるアラスを攻めました。一方、フランス軍はエーヌ川近辺での前進を目指していました。この攻勢において、航空隊には偵察や弾着観測による砲兵支援を頼まれていました。

アラスの戦いは1917年4月9日に始まり、RFCはその支援のために25個飛行隊と365機の航空機を動員しました。その内の約3分の1は、戦闘機として配置されました。しかし、ドイツ側の戦闘機隊である「Jasta」は初めは僅か5個でしたが、戦況が進展するにつれ8個まで増強され、実働可能な戦闘機は約80機に達しました。

ドイツの航空隊は1916年9月以降、アルバトロスD.IIとD.IIIといった強力な機体を投入し、イギリスやフランスの航空機を圧倒しました。対して、連合軍の航空機は古い設計の戦闘機に頼っており、エアコーDH.2やF.E.8などの時代遅れの機体が大半を占めていました。新世代の戦闘機はまだ十分に整備されておらず、唯一RFC第56飛行隊がS.E.5を使用していました。4月中にはブリストルF.2aも投入されましたが、その初陣でドイツのJasta11と遭遇し、多大な損害を被りました。

結果

1917年4月1ヶ月間で、イギリスは245機の航空機と、211名の搭乗員が戦死または行方不明になり、108名が捕虜となりました。一方で、ドイツ航空隊は合計66機の損失に留まり、戦術的には明らかに優位を保っていました。特筆すべきは、リヒトホーフェンの指揮の下、Jasta 11がイギリスの損失のうち89機を撃墜し、全体の3分の1以上を占めた点です。

この4月はRFCにとって非常に厳しい時期でしたが、それにもかかわらず彼らは航空写真や偵察情報、阻止爆撃を駆使し続け、地上軍の支援を行いました。ドイツ側は確かに航空優勢を誇っていましたが、実際には前線を効果的に支配することができていませんでした。

その後、2ヶ月内に新型機（S.E.5、ソッピース キャメル、SPAD S.XIII）が投入されると、Jastaは急激に劣勢に立たされることになりました。これにより、RFCは偵察機や弾着観測機に対する有効な護衛を確保し、損失を減少させていきました。この4月を境に、ドイツが航空優勢を握ることはほぼなくなり、以降は連合国側が空の支配権を保持し続ける結果となりました。

関連項目

• - フォッカーの懲罰

参考文献

• - Bloody April, Black September, Norman Franks, Russel Guest and Frank Bailey (1995, Grub Street) ISBN 1-898697-08-6
• - Bloody April, Alan Morris (1968, Arrow Books)

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