ソッピース キャメル

ソッピース キャメル

概要

ソッピース キャメル（Sopwith Camel）は、イギリスのソッピース・アビエーションによって開発された複葉戦闘機です。この機体は第一次世界大戦の西部戦線で使用され、戦局に大きな影響を与えました。操縦性に優れ、独特の性能を持ちながらも、初心者パイロットには扱いが難しいことで知られています。

開発の経緯

キャメルは、既存の複葉戦闘機ソッピース パップの後継機として1916年に設計され、その開発当初には「ビッグ・パップ」と呼ばれていました。搭載された130馬力のクレルジェ 9B 型エンジンにより時速185 kmを超える速度を発揮し、機体には2挺のビッカーズ製7.7 mm機関銃が装備されました。機関銃の周囲を覆う形状がラクダに似ていたことから「キャメル」という名がつけられました。軍はこの愛称の使用を禁止しましたが、結局は定着しました。1917年から本格的に運用され、合計約5,490機が生産されました。

特徴

キャメルは搭載したロータリーエンジンによって生まれる強いジャイロ効果から、独特の操縦感覚を持ちます。そのため、新人パイロットにとってはかなり難易度が高く、着陸時の事故が頻発しました。一方で、機体は著しい右ロール性能を持っており、特に右に270度ロールを行う方が、左に90度ロールするよりも容易だと言われるほどでした。この特性により、パイロットは常に操縦に注意を払う必要がありましたが、その結果としてキャメルは比類なき機動性を獲得しました。

戦闘機としての運用

戦闘機としてのキャメルは、第一次世界大戦で連合国の制空権を確保する上で重要な役割を果たしました。特に、全軍の中で最多撃墜数を誇る戦闘機として知られています。戦闘記録には、「レッドバロン」として知られるドイツのエースパイロットリヒトホーフェンが搭乗していたフォッカー Dr.Iを、キャメルを操るロイ・ブラウン大尉が撃墜したという逸話が存在します。しかし近年の研究では、実際には対空射撃によるものであった可能性が示唆されています。

キャメルはその特性から「パイロット・キラー」と称されることもあり、事故が多発していました。意図せず機首が上下することも多く、結果的に多くのパイロットが負傷したり命を落としました。この危険な特性から、乗員に授与される勲章には「ビクトリアクロス」と共に、怪我をした際の「レッドクロス」、さらには死亡時の「ウッデンクロス」があるとされ、最も危険な機体と見なされることがありました。

大衆文化での認知

キャメルは大衆文化にも影響を与えており、特に漫画『ピーナッツ』のキャラクター、スヌーピーがこの機体を模して「第一次世界大戦の撃墜王」として気取るシーンが有名です。スヌーピーが犬小屋の上に跨がる姿は多くの人に親しまれ、2015年にデルタ航空から名誉パイロットの称号を贈られるなど、文化的なシンボルとなっています。

運用国

この機体はアメリカ、イギリスをはじめ、エストニア、オーストラリア、オランダ、ギリシャ、スウェーデン、ベルギー、ポーランド、ラトビアなど、多くの国で運用されました。

性能諸元

• - 乗員: 1
• - 全長: 5.71 m
• - 全高: 2.59 m
• - 翼幅: 8.53 m
• - 空虚重量: 420 kg
• - 最大速度: 185 km/h

このように、ソッピース キャメルは第一次世界大戦において重要な存在であり、その特性と戦績は今なお航空機ファンに語り継がれています。

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