行政不服審査会

行政不服審査会について

行政不服審査会は、行政不服審査法に基づき、総務省に設置された審議会です。この審査会は、国民が行政庁の処分や不作為に対して不服を申し立てた場合に、その適否を審査し、答申することを目的としています。

概要

2014年に設置された行政不服審査会は、初代会長に元裁判官の市村陽典氏が就任しました。審査は、3名の委員で構成される合議体である部会で行われますが、全委員による総会で審査を行うことも可能です。各部会には部会長が置かれ、合議体の議事は、構成員の過半数で決定されます。審査会には事務局が設けられており、事務局長、総務課、審査官などが配置されています。審査会の調査審議の手続きは原則非公開ですが、口頭意見陳述や参考人の陳述については、部会または総会が公開を相当と認めた場合に限り、公開されることがあります。

委員

任免

審査会の委員は9名で、総務大臣が、審査会の権限に属する事項に関して公正な判断ができ、かつ法律または行政に関して知識や経験を有する者の中から、両議院の同意を得て任命します。ただし、実際には内閣が両議院に候補者名を通知します。また、総務大臣は、専門的な事項を調査するために、学識経験のある非常勤の専門委員を任命できます。

任期

委員の任期は3年で、再任が可能です。委員は基本的に非常勤ですが、3名まで常勤とすることができます。会長は、委員の互選により選ばれます。合議体の委員、部会長、調査担当の専門委員は、最終的に会長が指名します。

権限

会長・部会長

会長は、担当部会の部会長の申し出に基づき、専門委員を指名できます。また、審査会の運営規則に定める事項のほか、審査会の調査審議手続きに必要な事項を定める権限を持ちます。審議においては、総会や部会の議長となり、議事を整理します。会長または部会長は、必要に応じて、審査会運営規則に定める様式の記載内容や形式について、実質的に不均衡が生じない範囲で調整することができます。

部会長・委員

口頭意見陳述においては、部会長または指名された委員は、申立人が審査請求の範囲を超えて陳述する場合や、議事整理のために必要と認める場合には、その陳述を制限することができます。

歴代委員

歴代の委員については、公式の記録や情報源を参照してください。

問題点

行政不服審査会と裁判所との間における人事交流、特に判事の割り当てに関して、裁判所と法務省の間で行われる判検交流と同様の問題点が指摘されています。審査会の審査結果に不服がある場合、国家賠償法に基づき、国に対する損害賠償請求訴訟が提起され、裁判所の審査を受けることになります。しかし、初代会長の市村陽典氏は、退任後に最高裁判所事務総局行政局付を務めるなど、行政訴訟を多く担当しており、内閣司法制度改革推進本部行政訴訟検討会委員として行政事件訴訟法の改正にも携わっています。このため、同じ裁判官が異なる立場で同じ事件に関わることで、裁判の公平性が損なわれる可能性があるとの指摘があります。

また、国賠訴訟において国の代理人である法務省訟務局長は、裁判官経験者が慣例的に務めています。2022年からは、東京地裁行政部の裁判長であった春名茂氏が法務省訟務局長に就任しています。中立であるべき裁判官が、訟務検事として国の代理人を務め、再び裁判所に戻って国を相手取った賠償請求訴訟を担当することは、たとえ別の訴訟であっても、裁判の公正性を損なうとの批判が日本弁護士連合会などから上がっています。

脚注

関連する情報源や参考文献は、別途確認してください。

外部リンク

総務省 行政不服審査会
行政不服審査会運営規則 - ウィキソース

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