衛尉

衛尉（えいい）

衛尉は、古代中国に存在した官職であり、主に宮廷の守備兵を指揮する役割を担っていました。時代によってその職務や組織構成に変化が見られます。

秦・前漢

衛尉は九卿の一つとして、秦の時代から存在し、前漢にも引き継がれました。主な任務は、宮門を守衛する兵士を管轄することであり、その補佐として丞が置かれていました。

前漢の景帝の時代、紀元前157年以降に中大夫令と改称されました。中大夫令と衛尉は、元々秩禄二千石で同格の官職であり、この時に両者が統合されたと考えられています。しかし、景帝中元年（紀元前143年）には再び衛尉という名称に戻されました。

衛尉には、以下のような属官が存在しました。

公車司馬令 - 公車司馬丞
衛士令 - 衛士丞3人
旅賁令 - 旅賁丞
屯衛候
司馬22官
長楽衛尉、建章衛尉、甘泉衛尉（非常設）

後漢

後漢においても衛尉は引き続き設置されました。定員は1名で、秩禄は中二千石。丞1名（比千石）が置かれました。後漢における衛尉の属官は以下の通りです。

公車司馬令1人（六百） - 公車司馬丞1人、公車司馬尉1人
南宮衛士令1人（六百） - 南宮衛士丞1人
北宮衛士令1人（六百） - 北宮衛士丞1人
左右都候各1人（六百） - 左右都候丞各1人
南宮南屯司馬1人（比千石） - 員吏9人、衛士102人：平城門を管轄
宮門蒼龍司馬1人（比千石） - 員吏6人、衛士40人：東門を管轄
玄武司馬1人（比千石） - 員吏2人、衛士38人：玄武門を管轄
北屯司馬1人（比千石） - 員吏2人、衛士38人：北門を管轄
北宮朱爵司馬1人（比千石） - 員吏4人、衛士124人：南掖門を管轄
東明司馬1人（比千石） - 員吏13人、衛士180人：東門を管轄
朔平司馬1人（比千石） - 員吏5人、衛士117人：北門を管轄

このように、衛尉は宮廷の警備体制を維持するために、多くの属官や兵士を抱えていました。それぞれの属官は特定の門や区域を担当し、宮廷全体の安全を守る役割を果たしていました。

参考文献

班固『漢書』表第七上「百官公卿表」上
大庭脩監修、漢書百官公卿表研究会『『漢書』百官公卿表訳注』、朋友書店、2014年。
司馬彪『続漢書』「百官志二」

関連項目

九卿
中国の官制

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