袁義

袁義（えん ぎ）は、生年不詳ながら1399年に没した、元末から明初にかけての軍人です。彼の出身は、現在の安徽省蕪湖市一帯にあった無為州廬江県とされています。

元々は張姓を名乗り、張徳勝の親族でした。当初は、趙普勝（通称：双刀趙）の配下として総管を務め、安慶の守備を担いました。沙子港の戦いでは、趙同僉や丁普郎率いる敵軍を破る戦功を上げます。左君弼からの誘いを受けましたが、これには応じませんでした。

その後、張徳勝が戦死すると、袁義は朱元璋に帰順しました。朱元璋は彼を帳前親軍元帥に任命し、袁義という名前を与えました。袁義は、朱元璋の指揮下で数々の戦いに従軍し、その都度、功績を重ねて、興武衛指揮僉事という役職に昇進しました。

洪武帝の時代に入ると、袁義は徐達の北伐に従軍しました。通州の戦いでは、元の平章である俺普達らを撃破し、沢州・潞州では賀宗哲・詹同率いる敵軍を退けるという、目覚ましい戦果を挙げました。さらに、徐達と共に陝西に進攻し、元の豫王軍を破り、諸将とともに慶陽を包囲します。この時、張良臣の軍勢が袁義の陣営に突如として迫りましたが、袁義は動じることなく陣営を堅守しました。敵の隙を突いて反撃に転じ、これを撃破しました。また、定西の戦いではココ・テムルの軍を破り、南方の要衝である興元を奪取するのに貢献しました。

これらの功績により、本衛同知に進み、羽林衛を組織化し、遼東の守備を任されます。洪武14年（1381年）には、沐英に従って雲南遠征に参加し、普定の諸城を攻略し、楚雄に駐屯しました。雲南では、少数民族がしばしば反乱を起こしたため、袁義は食料を蓄積し、城壁を高く築き、守りを固めつつ、時には戦いにも出て、その功績が認められ、楚雄衛指揮使に昇進します。ある時、袁義は南京に入朝し、洪武帝から労いの言葉をかけられます。洪武帝は老齢の袁義を見て、医師に命じて彼の髭を染めさせたという逸話も残っています。

袁義は楚雄に20年間駐屯し、その間、田地を開墾し、堰を築き、城郭や橋梁を整備しました。これらの施策は、軍民から大いに歓迎されました。建文元年（1399年）に南京に召還され、右軍都督府僉事に任命され、さらに同知に進みますが、在官のまま亡くなりました。

袁義の生涯は、元末から明初にかけての激動の時代を象徴するものであり、軍人としての卓越した能力と、民政にも手腕を発揮した優れた人物であったと言えるでしょう。

参考文献

* 『明史』巻134 列伝第22

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