裁判所 (地方制度)

地方制度における裁判所の成立とその役割

1868年（慶応4年）、新政府が設立した裁判所は、直轄地を効率的に管理するための主要な機関でした。この裁判所は、江戸幕府の業務を引き継ぎ、民政や裁判に関する事務を行う役割を担っていました。新政府が設立したこの機関は、三権分立を前提とする中で、司法権を行使する裁判所とは異なる位置づけにありました。

裁判所の設置の背景

裁判所は、当初、戊辰戦争の最中に設置されました。そのため、新潟、佐渡、箱館などの地域は、新政府の直接統治の下には置かれていなかったのです。このような状況を受けて、政府は裁判所の運営において総督と副総督を配置し、各地域において重要な役割を果たすことを志向しました。

設立された最初の裁判所は慶応4年の1月27日に大坂に設けられ、その後、4月までに全国で12の裁判所が設立されました。これには、兵庫、長崎、大津、京都、横浜、箱館、新潟、佐渡、笠松、府中、三河の各地が含まれています。

政体書と裁判所の変遷

同年、政府は閏4月21日付けの政体書を発表し、府藩県三治制を導入することを宣言しました。この政策に従い、設立された裁判所は徐々に府や県に移行していくことになりました。特に江戸では同年5月に江戸府が設置されましたが、その後、上野戦争の影響を受けて、江戸鎮台という新たな機関が設立されました。

このとき、旧幕府の寺社奉行所は社寺裁判所に、町奉行所は市政裁判所に、勘定奉行所は民政裁判所に改称され、江戸鎮台の下でこれらの裁判所が統括されることになりました。さらに、同年7月には鎮台府が鎮将府に改名され、社寺・市政・民政の各裁判所は廃止され、鎮将府が駿河以東の13の国々に対してその業務を引き継ぐこととなりました。

裁判所の名称と機能

1868年に設置された裁判所は以下のような名を持ち、それぞれ特定の地域を管轄しました。これらの裁判所は管轄地域に基づいて設立され、新政府の法令による廃止や新たな設置の影響を受けました。特に神奈川裁判所の下には、内務を担当する戸部裁判所や、外務を担当する横浜裁判所が置かれました。

また、京都では、慶応3年12月に王政復古に伴い、山城、大和、近江、丹波の司法を管轄していた町奉行が廃止され、その後設立された京都市中取締所が、新政府の指導の下で裁判所に改名されるなど、地域の司法制度も大きく変化しました。

結論

裁判所は、1868年に新設された日本の地方制度の中で、重要な役割を果たしました。この新機関は、旧幕府からの民政や司法業務を引き継ぎながら、段階的に地方自治の整備を進める起点となったのです。政府の法令による変更を経て、裁判所は各地域における司法制度の中核としての機能を果たし続けました。

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