装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ

概要

『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』は、人気アニメ『装甲騎兵ボトムズ』の前日譚であり、2007年から2008年にかけてOVAとして発表されました。このシリーズは、高橋良輔が監督しており、以前から続くボトムズ作品とつながりを持っています。物語は、重要な戦闘の一環として行われた「タイバス渡河作戦」を中心に描かれています。また、OVA全12話と、2009年に公開された劇場版が存在します。

この作品では、シリーズに登場するアーマード・トルーパー（AT）などのメカが独自に描写されており、その戦闘シーンには3DCG技術が使用されています。背景やエフェクトには手描きが加えられ、より一層視覚的な魅力を引き立てています。シリーズファンからは、高橋とメカデザイナーの大河原邦男が過去に希望した形が実現されていると評価されています。

音楽面では、従来の音楽担当であった乾裕樹が亡くなったため、新たな楽曲の提供はありませんでした。そのため、音響監督として浦上靖夫が復帰しましたが、音響効果担当が替わりました。さらに、主人公のキリコの台詞も少なく、キャラクターの心情を深く描く形でモノローグが重視されています。オープニングには彼の姿が一瞬だけ映るのみです。

制作の過程や背景は、高橋良輔が連載する小説「新・小説VOTOMSいちぶんの一」を通じて詳しく知ることができます。また、2007年に発売されたPlayStation 2用ゲームにも本作に関連したエピソードが含まれています。

物語

物語はアストラギウス暦7213年、百年戦争が終結に向かう状況を背景にしています。ギルガメス軍の勝利を受けて、和平の道が模索されています。そんな中、キリコ・キュービィーはレッドショルダー部隊を離れ、惑星ロウムスでの「タイバス渡河作戦」に参加します。この作戦は60万を超える兵士が動員される大規模なものであり、キリコが所属する部隊は最艱苦な戦場へ送り込まれることになります。

一方、レッドショルダー部隊の司令官ヨラン・ペールゼンは、軍事法廷に引きずり出されていました。彼は無言を貫きますが、そこへメルキア情報省次官フェドク・ウォッカムが現れ、彼を救出します。ウォッカムはペールゼンが残した機密文書を手に入れ、特に5人の兵士たちに注目します。これらの兵士たちは異なる経歴を持ちながら、戦場における生存率が異常に高いことが共通の特徴でした。

ウォッカムはこれらの兵士たちが「異能生存体」であると見込み、彼らを「実験」に送り込むことになります。そして、彼らが次々と過酷な戦場に送り込まれる一方で、軍内部ではペールゼンの策謀が進行していくのです。

登場人物

この作品の中心となるキャラクターには、キリコ・キュービィーを始めとするバーコフ分隊が含まれています。キリコは18歳で元レッドショルダー隊員。特異な生存能力を持ち、そのことから彼の運命は大きく変わっていきます。分隊長のノル・バーコフや、自己中心的な性格のガリー・ゴダン、そして特殊な能力を持つ少年兵ゲレンボラッシュ・ドロカ・ザキなど、複雑な背景を持つキャラクター達が物語を多様に展開します。

運命を共有しながらも、それぞれの道を歩む彼らの姿は、戦争という厳しい現実の中で人間的な感情や葛藤を浮き彫りにします。戦慄と悲劇に満ちた彼らのサバイバルがこの物語の魅力を高めており、第1話からラストへと繋がる壮大な物語は、視聴者を深い思索へと誘います。

このように、『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』は、シリーズの粋を集めて新たな次元を切り開く作品となっており、多くのファンに支持され続けているのです。

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