装輪装甲車 (改)

装輪装甲車（改）について

装輪装甲車（改）は、陸上自衛隊が新たに配備する目的で開発された装輪装甲兵員輸送車です。これは、96式装輪装甲車の後継モデルとして位置づけられ、より優れた防護力や機動性を備えた車両を目指していました。しかし、2018年7月に開発が中止されたことにより、その実績は残念ながら実現しませんでした。

開発の背景

96式装輪装甲車は、自衛隊が初めて本格的に採用した装輪装甲車両ですが、その防御性や積載性にはいくつかの課題がありました。特に、島嶼部侵攻への対処や国際的なPKO活動において、脅威からの安全確保が求められる中、その限界が指摘されていました。このため、より大きな車体や強化されたエンジン出力、そして懸架能力の向上が求められることとなり、装輪装甲車（改）の開発へとつながっていったのです。

2014年度から2016年度にかけて試作が行われ、その後の2年間で各種の技術や実用試験が実施されました。その総試作費は約47億円に達しています。試作車両の映像も防衛装備庁のホームページで公開され、多くの人々の関心を集めました。

しかし、2017年に入ると、試作車両の防弾板に不具合が見つかり、開発完了時期は2021年以降に延期されることが発表されました。最終的には2018年に開発計画が白紙となり、正式に中止が宣言されました。

武器としての期待

装輪装甲車（改）は、有事やグレーゾーンの事態に対して多様な任務に応じた機能を備えることが期待されていました。付加装甲や遠隔操縦式武器システム（RWS）の装備が可能で、装甲兵員輸送はもちろん、指揮通信や戦闘工兵の任務にも対応できるようになっていました。

また、開発に際しては、既存の装備や商用オフ・ザ・シェルフ（COTS）技術を活用することで、開発期間とコストの削減にも注力されていました。公式なイメージ図では、装輪装甲車（改）は96式装輪装甲車に似たデザインをもち、各部の配置も工夫されていました。特に、操縦席の右側にエンジンが配置され、左側にはキューポラを持つデザインは特に目を引くものでした。

実際の試作車両は、これらの設計を踏襲しつつも、後部にはにぎやかな形状のハッチが配置され、V字型の車体設計が地雷や即席爆発装置（IED）対策として機能していました。車体の外殻はボルトで留められており、状況に応じて装甲の換装が可能でした。

新たな方向性

試作車両の開発が難航した結果、最終的には2022年に防衛省が次期装輪装甲車としてパトリアAMVの採用を決定しました。これにより、日本の装輪装甲車の未来については新たな方向性が見出されたと言えるでしょう。装輪装甲車（改）の開発は失敗に終わったものの、自衛隊の運用において引き続き、新しい技術や装備が求められていることは間違いありません。

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